第29回「口腔ケアグッズ②」

公開日:2024/08/07

口腔ケア

以前、口腔ケアグッズについていくつか紹介させていただきました(第17回)。その時は歯ブラシ、粘膜用ブラシ、舌ブラシ、入れ歯用ブラシといわゆるメインになるブラシ類についてご紹介しました。今回は、その他にも便利なものを紹介していきたいと思います。

1.歯みがきティッシュ

もう、口腔ケア用品として定着してきた歯みがきティッシュですが、最初に登場してきたときはちょっと驚きました。ウェットティッシュといえばお掃除用だと思っていたので、「口の中に入れるの?」と思ってしまいました。もちろん口の中に入れるので味や成分なども考えられており、今では必需品です。私たちは歯科の人間なので、他の方の口の中に指を入れるということに抵抗はありませんが、一般の方だとちょっと怖いかなぁと思います。

さて、問題は用途です。歯みがきティッシュが歯ブラシと同等の効果があるかといえば残念ながらそんなことはありません。細菌、特にバイオフィルムという形で存在するもの(プラーク)はブラシでしっかりこすらなければ除去できません。

そこで歯みがきティッシュの役割は次の2つだと思ってください。食物残渣(食べかす)の除去と水分の除去。実際、私たちが口腔ケアをするとき、食べかすをかき出したり、ブラッシングしながら歯みがきティッシュでブラシを拭いたり、お口の中にたまった唾液を拭いたりしていくという補助道具として使っています。

慣れている方は自分の指に巻いてお口の中に入れていくことができると思いますが、ちょっと怖いと思うときは歯ブラシの柄に巻いて使用することもできます。

役割を知っておけば非常に重宝するものです。有効に使用しましょう。

 

2.口腔保湿ジェル

口腔保湿剤というのは、お口が乾燥している方に使用していくもので、口の中に噴霧する液状タイプとジェルタイプのものがあります。液状タイプは、乾燥を感じた時にお口の中にシュッと吹き付けるだけなのでとても使用しやすいのですが、粘膜にとどまってくれず、その液体でむせてしまう方もいます。ジェルタイプは塗り付けていくタイプで、粘膜にとどまってくれるため、保湿効果は高いです。

ジェルタイプの特性として、厚くべったり塗布していたり、古くなると保湿剤自体がダマになったり、汚れになったりすることもあるので適切に使用するようにしましょう。

1回の使用量は約1センチ。それを左手の甲に出し、右手の人差し指で取ってお口全体に伸ばしていくようにして使用します。現場ではその2,3倍の量を使用している方を見かけますが、ダマになりやすく、保湿効果も下がってしまうので注意してください。

実際の口腔ケアで、お口の乾燥がひどい方に使用する際を考えてみましょう。まずは口腔ケアの最初に唇からお口の中にかけて全面的に塗布します。それからブラッシングを中心にした口腔ケアを実施します。それから余分な水分は除去(歯みがきティッシュなどで拭き取る)してください。水分が多すぎると濃度が薄まり、十分な効果が期待できません。最後に口腔保湿ジェルを塗布して終わります。

 

3.歯磨剤

いわゆる歯磨き粉です。高齢者の口腔ケアで必須ですか?と聞かれると意見が割れるところだと思います。個人的な意見でいうと、使ってメリットのある方もいると思うので、正しく選択して使用してよいと思っています。

まずは研磨剤、発泡剤が入っていないものを選択するということ。あなたが使用されている歯磨剤にはこの成分が入っていると思います。研磨剤が入っていることにより汚れを落としやすくなり、発泡剤によりお口全体に歯磨剤が広まるといった効果を持っています。高齢者のお口も汚れが多いのでこれらの成分のメリットを生かしたいところですが、歯そのものが弱い方、歯ぐきが下がって根が出ている方も多く、研磨剤によってそれらが削れてしまうリスクがあります。また、発泡剤の泡立ちでむせてしまう方もいます。

逆にフッ素は多く配合されているものが有利です。高齢者はむし歯によって歯が折れてしまい、残根になるケースが多くみられます。その予防のためにフッ素は有効です。目安としては濃度が900~1500ppmのものを選択しましょう。

 

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今回は実際の口腔ケアやその前後に使用するものを紹介させていただきました。次回は、口腔ケア実施をするときの便利グッズも紹介します。

歯科医師 五島朋幸

 

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