第30回「口腔ケアグッズ③」

公開日:2024/08/22

口腔ケアグッズ

これまで口腔ケアグッズをいくつか紹介してきましたが、今回は直接口腔ケアをするブラシなどではなく、あると便利なものについてお話をしていきます。ご家庭で口腔ケアをするのは大変なことです。少しでも便利なもの、ケアが楽になるものがあるといいですね。

1.ペンライト

まずはペンライト。口腔ケアをする前にお口の中を観察するのに使用します。普通の懐中電灯でも十分に観察できますが、光が拡散して口の中が十分な照度でなかったり、ご本人がまぶしく感じることもあります。その点、照射光の焦点しぼりができるタイプのものだと的確に観察をすることができるのでおすすめです。うちの訪問診療では以前から「マグライト」というものを使用しています。

また、ご家庭では必要ないと思いますが、ヘッドライトを使用すると口腔ケア中でも視野を明るく照らすことができます。訪問歯科診療の現場ではよく使われています。最近は安価なものもあり、2000円ほどでも十分使用できるものがあります。ご参考までに。

ペンライト

ペンライト

ヘッドライト

ヘッドライト

2.デンタルミラー

次は、デンタルミラーです。いわゆる歯医者さんの鏡です。最近では、ディスポタイプのものが安価で売られており、手に入れるのも容易になりました。デンタルミラーには3つの用途があります。

1つめは、そのミラーで観察したいところを見ること。

2つめは、頬や舌など、観察にじゃまになるものを引っ張り、観察しやすくすること。

3つめは、ミラーに光を当てて反射させ、直接ペンライトなどの光が入らないところを照射することができます。

私たちは毎日使う商売道具ですから、とても扱いやすいのですが、最初は使いにくいかもしれません。まずは左手にミラー、右手に歯ブラシを持ち、ミラーで軽く唇を広げるようにすると視野が広がり、磨きやすくなると思います。慣れてくるとその他の用途でも使えるようになってくると思います。

デンタルミラー

歯鏡(デンタルミラー)

3.ガーグルベイスン(うがい受け)

続いて、ガーグルベイスンです。うがいをした後、水を吐き出してもらうための受け皿です。わざわざ洗面台に行ってうがいをするというのが難しいようなときに利用します。

ご家庭では、ガーグルベイスンを利用されている現場が多いのですが、施設で、わざわざ洗面台を利用している風景を見ます。高齢で低身長の円背女性の方などが車椅子に乗っていて洗面台で水を吐き出そうと思っても、シンクまで口が届かないというときもあります。ガーグルベイスンを積極的に利用していただきたいと思います。

もちろん、洗面器やその他の器などでもいいのですが、ガーグルベイスンの形を見るとわかりますが、うまく考えられています。100円均一の店で見ることもあるくらいなので、積極的に利用してください。

 

4.バイトブロック

口を開けてその状態を保持することが難しい方に利用します。バイトブロックは、通販などでも手に入りますが、まずは歯科医師や歯科衛生士さんに相談して、使い方なども指導していただくのが良いでしょう。

ゴム質やプラスチックなどいろいろな素材のものがあります。

ご本人の意志ではなく、反射的に食いしばってしまう方がいました。すごい力で噛みしめるので、硬質プラスチックのバイトブロックにヒビが入り、割れて破片を飲み込むのではないかとヒヤッとした経験があり、私はゴム質のものを使っています。

もちろん、口を開けておいていただく目的ですが、口を開けておくことが辛い方は、バイトブロックを噛んでいたほうが楽、という方もいます。

また、製品としてではなく、他の代用で噛んでいただくこともあります。例えば市販のホースを2つ折りにして噛んでいただくなどということもできます。もちろんバイトブロックを入れると辛いという方もいるので、使用の際は確認しましょう。

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次回は、実際のブラッシング法などをお話していきます。

歯科医師 五島朋幸

 

 

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