介護のおむつ交換の手順!9つの注意点や負担を軽減する方法を解説
公開日:2024/11/22
「自分の親に介護が必要になったけど、おむつ交換ってどうするの?」「できるだけ楽におむつ交換をする方法を知りたい」
このように悩んだり不安を感じたりしていませんか。
在宅介護において、おむつ交換は必要不可欠な支援ではあるものの、負担に感じている方もいるでしょう。正しい手順で、かつプライバシーに配慮したおむつ交換ができるかどうかによって、要介護者が快適に過ごせるか左右されます。
この記事では、おむつ交換の手順や注意点、要介護者と介助者の負担を軽減する方法を解説します。おむつ交換がスムーズにいかずに悩んでいるあなたの手助けになれれば幸いです。
介護でおむつ交換する際に必要な物品
まずは、おむつ交換する際に必要な物品を紹介します。
- 介護用のエプロン
- 使い捨ての手袋
- 石けん・陰部洗浄用のボトル
- 新しいおむつと尿とりパット
- おしりふき
- ゴミ袋
- 軟膏や塗り薬
「なぜおむつ交換に必要なのか?」「物品はどのように使うのか?」などのポイントをそれぞれ押さえましょう。
介護用のエプロン
介護用のエプロンは、おむつ交換中の衣服の汚れを防ぐための必須アイテムです。
おむつ交換は、便に含まれる善玉菌や悪玉菌、日和見菌などの細菌により感染のリスクが高いケアであるため、エプロンを使用することでそのリスクを軽減できます。
たとえば、介護施設でのノロウイルスの集団感染は便を介して感染するため、おむつ交換時の感染予防は特に重要です。
介護用のエプロンを着用することで、介助者は手を自由に動かしやすく、快適に作業を行えます。肩や背中にフィットし、長時間の介護にも疲れにくいデザインのものを選ぶと良いでしょう。
介護用のエプロンには、使い捨てタイプと繰り返し使用できるタイプがあるので、在宅介護の状況に合わせて選ぶことが大切です。介護用のエプロンは、感染予防と作業の快適さを両立する重要なアイテムです。
参考:鳥取県ホームページ/《公開用感染制御相談事例集(Q&A)》(PDF)
使い捨ての手袋
おむつ交換を行う際、使い捨ての手袋は欠かせないアイテムです。
なぜなら、使い捨て手袋は1回ごとに交換でき、排泄物や汚れから手を守り、感染症のリスクを減らせるためです。特に、おむつ交換中は、要介護者の敏感な皮ふに触れることが多いため、柔らかい素材の手袋を選ぶと良いでしょう。
おむつ交換の際に、手袋を着用していた場合でもケアが終わったら、石けんで手を洗って手指消毒剤を使って感染の予防に努めてください。
衛生管理を守ることが、安心しておむつ交換を行うための基本です。
石けん・陰部洗浄用のボトル
汚れや細菌をしっかりと洗い流すために、石けんや陰部洗浄用のボトルは必要です。
陰部はデリケートな部位です。排泄物が長時間皮ふに残っており、適切なケアをしなければ、皮ふが赤くなったりかぶれたりする原因になるため、石けんを使って丁寧に洗浄することが推奨されます。
石けんは、無香料や低刺激で皮ふに優しいものを選び、人肌くらいに温めたお湯できれいに洗い流してくださいね。
新しいおむつと尿とりパッド
おむつ交換時に必ず用意しておきたいのが「新しいおむつ」と「尿とりパッド」です。
おむつはサイズが小さすぎると締めつけが強くなって皮ふトラブルの原因になり、大きすぎると便や尿が漏れるリスクが高まります。
尿とりパッドは、吸収力が高く、おむつの中にセットすることで排泄物の吸収をさらに強化できます。特に、尿量が多いときや長時間のおむつ交換が難しいときには、尿とりパッドを使用することで漏れ防止に役立ちます。
おむつ交換の際には、おむつと尿とりパッドがフィットしていることを確認しましょう。
おしりふき
おしりふきもおむつ交換には欠かせません。
乾いたもので拭くと皮ふを傷つけやすく、トイレットペーパーでは十分に汚れが落ちにくいです。濡れたもので拭くと汚れが落ちやすいため、おむつ交換の負担を軽減できるでしょう。
ゴミ袋
おむつ交換の際に忘れてはならないのがゴミ袋です。
使用済みのおむつや汚れた尿とりパッドを適切に処理するために、ゴミ袋を用意してください。
ニオイが漏れにくいものを準備することで、室内の衛生環境を保ちやすくなります。
軟膏や塗り薬
軟膏や塗り薬は、必ずしも必要とは限りません。
乾燥していて市販のクリームを使ったりしている場合は、皮ふがきれいになったタイミングで新しく塗り直しましょう。
ただし、かかりつけ医から指示がある場合は、その指示を守ってくださいね。
介護のおむつ交換に手順を解説【寝たきりの高齢者の場合】
次に、寝たきりの高齢者のおむつ交換をする手順を下記の9ステップで紹介します。
- 必要な物品を準備する
- おむつ交換する環境を整える
- テープを外しておむつをずらす
- 排泄物があれば拭き取る
- 石鹸・陰部洗浄用のボトルで陰部を洗う
- 新しいおむつをつける
- 要介護者に確認しながらおむつを整える
- 着替えの介助を行う
- おむつを処理する
それぞれの手順を踏まえて要介護者と介助者、いずれにとっても負担が少ない方法でおむつ交換を実施しましょう。
1.必要な物品を準備する
おむつ交換をスムーズに行うためには、まず「必要な物品を準備する」ことが重要です。
寝たきりの高齢者の場合、交換の際に手早く進めることが要介護者と介助者双方の負担の軽減につながるためです。準備が不十分であり、おむつ交換をしている途中で物品がないことに気づいても、すぐに取りに行けなかったり手を洗う手間が増えたりします。
準備すべき物品は、先ほど紹介したように以下のとおりです。
- 介護用のエプロン
- 使い捨ての手袋
- 石けん・陰部洗浄用のボトル
- 新しいおむつと尿とりパット
- おしりふき
- ゴミ袋
- 軟膏や塗り薬
これらのアイテムを手元に揃えておくことで、おむつ交換をスムーズに進められます。
2.おむつ交換する環境を整える
おむつ交換をする環境を整えることは不可欠です。
なぜなら、環境が整っていると要介護者のプライバシーに配慮できたり、おむつ交換がスムーズにできて負担が減ったりするためです。例えば、次のポイントに配慮して環境を整えてください。
- 部屋の温度や照明を調整する
- 周囲から見えないようカーテンなどで仕切りをつくる
- おむつ交換しやすいように物品を手の届く範囲に配置する
- おむつ交換がしやすいようにベッドの高さを調整する
また、ベッドや布団の下に防水シートを敷くことで、万が一の漏れを防ぎ、清掃の手間を省くことができます。手袋や介護用のエプロンを装着して、おむつ交換に取り掛かります。
3.テープを外しておむつをずらす
おむつのテープを外したら、要介護者の身体を少し横向きにする、もしくは腰を浮かせて要介護者の足先の方向におむつを少しずらします。
このとき、おむつの汚れた部分が広がらないようにゆっくり行い、おむつを全部外さないことがポイントです。ずらしたおむつの汚れた部分を内側に折ってくるくると巻き込んで、便が要介護者や介助者の身体に付着しないように注意してください。
4.排泄物があれば拭き取る
おむつを少しずらした後、排泄物がある場合はおしりふきで拭き取りましょう
水分を含んだおしりふきはは皮ふを傷つけにくいです。拭く際は、要介護者が男性の場合は便が陰茎に付着しないように、女性の場合は前から後ろに向かって拭き取ることで、感染予防につながります。
5.石けん・陰部洗浄用のボトルで陰部を洗う
おむつ交換では、陰部を清潔に保つことが重要です。
特に、寝たきりの高齢者の場合は、皮ふが敏感であるため汚れをしっかり取り除きながら、優しく洗うのがポイントです。
洗浄する際には、陰部に直接ボトルのお湯をかけるのではなく、ガーゼや柔らかいタオルに水と石けんを含ませて、優しく拭くように洗います。もしくは、指を介してお湯を流すようにしてください。
陰部はデリケートな部位であるため、力を入れすぎず丁寧に洗い流しましょう。
尿や便の汚れがしっかりと取れように、シワや皮ふが重なっているところにも注意して洗ってください。洗浄後は、濡れたところをしっかり乾かすことが重要です。湿ったままにしておくと、褥瘡(じょくそう:床ずれのこと)や皮ふ炎の原因となります。
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6.新しいおむつをつける
陰部を洗い終わったら、おしりふきやトイレットペーパー、ドライタオルでしっかりと乾かします。その後軟膏や塗り薬がある場合は塗ったうえで、新しいおむつをつけます。
使用するおむつは、要介護者の体型に合ったサイズを選び、適切な吸収力を持つものを選ぶと良いです。このとき、おしりや陰部に赤みやかぶれがないかなど皮ふの観察も忘れないようにしましょう。
①要介護者に膝を曲げて横向きになってもらいます。。
②おむつのゴム部分がウエストの位置にくるようにし、背骨とおむつの中心が合うようにします。パッドを使用する場合は、おしりの割れ目の位置にポリマーがくるようにセットします。
③腰の下におむつを丸めて差し込みます。
④おむつをベッドの上に広げ、要介護者を仰向けに戻ってもらいます。
⑤丸めたおむつを腰の下から引き出し、要介護者に足を伸ばしてもらいます。
⑥パッドで陰部を覆い、おむつのギャザーを立て、鼠径部に沿わせてあてて腹部に密着するように調整します。
⑦おむつの中心を身体の中心に合わせ、左右のテープを留めます。
⑧この際、下のテープを上方向に、上のテープを下方向にクロスするようにすると、ずれにくくなります。
おむつのテープは、引っ張りすぎないことが大切です。最後に、装着後のフィット感を確認し、ずれがないかチェックします。
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7.介護者に確認しながらおむつを整える
おむつ交換を行う際は、要介護者とのコミュニケーションが重要です。
まず、おむつ交換の目的を伝えると、安心感を持てリラックスできるでしょう。身体の向きを調整したり、陰部を洗ったりするときも「身体を右側に向けますよ」「今からお湯をかけます」など声をかけるようにしてください。
要介護者に「気持ち悪いところはありませんか?」「おしりの方はきちんとおむつがつけられていますか?」などを聞いて、不快感がないことをチェックしましょう。
8.着替えの介助を行う
おむつ交換が済んだら次に衣服の着替えを始めます。
着替えの介助も慎重に行い、要介護者の身体に無理がかからないようにします。
特に、背中やおしりのところは衣服がうまく着られなかったり、シワができやすかったりするため注意してください。
おむつ交換や着替えが終わったら「どこか気持ち悪いところはないですか?」「どのような姿勢が良いですか?」などを要介護者に確認したうえで姿勢を整えてください。
10.おむつを処理する
汚れたおむつは、手袋やおしりふき、トイレットペーパーなどと一緒にゴミ袋に捨てましょう。
使用済みおむつの廃棄方法については注意が必要です。地域によっては、ゴミの分別方法が異なるため、事前の確認が大事です。一般的には、可燃ごみとして処理することが多いですが、指示がある場合はそれに従います。
このとき、ベッド周囲の清掃も忘れないでください。尿や便が残っていると、感染症のリスクが高まります。消毒用のウェットティッシュなどを用いて、汚れた箇所を丁寧に拭き取ります。
清掃後は、石けんでしっかりと手を洗い、清潔を保つことも忘れないようにしましょう。 おむつ交換は単なる作業ではなく、介護者の健康を守ったり快適な日常生活を支えたりするための、重要なケアです。
介護でおむつ交換をする際の9つの注意点
ここでは、おむつ交換をする際の注意点を説明します。
- 体型に合ったおむつを選ぶ
- おむつは引っ張らない
- おむつは毎回交換する
- 観察項目に沿って観察しながらおむつ交換する
- プライバシーに配慮した環境を作る
- おむつ交換する際に皮膚をこすらない
- 尿とりパットを1度に何枚も使用しない
- 要介護者の気持ちを考え声かけしながらおむつ交換する
- おむつ交換するときに介護者の皮膚の状況を確認する
それぞれの注意点を詳しくみていきましょう。
体型に合ったおむつを選ぶ
おむつ交換を行う際、要介護者の体型に合ったおむつを選ぶことが非常に重要です。
適切なサイズとフィット感のあるおむつを使用することで、漏れや不快感を防ぎ、皮ふトラブルを軽減できるためです。
要介護者のウエストサイズやヒップサイズを測定し、メーカーのサイズ表を参考にしておむつを用意してください。おむつにはさまざまな種類やサイズがあり、個々の体型に合わせたものを選ぶ必要があります。
例えば、肥満体型の方には、伸縮性のあるタイプを選ぶと良いでしょう。逆に、痩せ型の方には、ぴったりとフィットするものを選ぶことで、隙間からの漏れを防げます。
また、使用するおむつの素材やデザインにも注意してください。通気性が良い素材を選ぶことで皮ふの蒸れを防ぎます。近年では、吸収力が高いおむつも増えており、長時間の使用でも安心です。
さらに、在宅介護の場合は介護者の動きに合わせたおむつ選びが必要です。寝たきりの方には、動きやすさを重視したデザインのものではなく、ズレにくいタイプを選ぶことが求められます。また、装着が簡単なテープ式やパンツ型など、介助者の使いやすさも考慮すべきです。
体型に合ったおむつを選ぶことは、介護の質を向上させるだけでなく、要介護者の快適な生活を支えるために重要です。正しいおむつ選びを通して、より良い介護環境を整えましょう。
おむつは引っ張らない
在宅介護でおむつ交換を行う際、おむつを引っ張らないように注意してください。
これは、要介護者の皮ふや身体に負担をかけないために重要なポイントです。おむつを引っ張ることで、摩擦が生じて皮ふが傷ついたり、擦れたりするリスクがあります。
特に、寝たきりの高齢者の場合は、皮ふが薄くなり弱くなっていることがあるため、細心の注意を払わなければなりません。 おむつ交換の際には、要介護者の身体を優しく持ち上げるなどの配慮ができれば、皮ふへの負担を軽減しながら、スムーズにおむつを交換できます。また、必要に応じて、介護用のベッドやクッションを使い、体位を調整しながら行うと、おむつ交換を進めやすいですよ。
おむつは毎回交換する
おむつ交換は、要介護者の快適さを保ち、健康を維持するために欠かせません。
適切におむつを交換しないと、尿や便による肌のかぶれや感染症のリスクが高まるからです。特に、高齢者や寝たきりの方皮ふは敏感で、こまめなケアが求められます。
毎回おむつを交換することで、皮ふの清潔を保ち、余分な湿気を防ぐことができます。これにより、皮ふトラブルの予防ができ快適な生活を送る手助けになります。
ただし、夜間に何回もおむつ交換することは、要介護者を起こしてしまい、かえって睡眠不足を招く恐れがあります。さらに、介助者も寝不足となって、負担が大きくなることで介護を続けられなくなるかもしれません。 そのため、おむつ交換のタイミングは要介護者の状態に応じて、尿の量や便の有無を観察しながら決めることが望ましいです。
観察項目に沿って観察しながらおむつ交換する
在宅介護において、おむつ交換は要介護者の健康状態を把握するために重要です。
おむつを交換する際は、要介護者の状態をしっかり観察して体調や状態の変化を確認しましょう。
まず、尿や便の状態を観察することが重要です。色や臭い、量に異常がないか確認し、変化があればかかりつけ医への相談を検討します。特に、便が黒っぽい場合や血が混じっている場合は、すぐにかかりつけ医に報告して指示に従ってください。その他、観察項目については、かかりつけ医とご確認ください。
次に、要介護者の反応や表情も観察しましょう。痛みや不快感を訴える場合は、ストレスを感じたり、何らかの病気が発症していたりするかもしれません。
定期的に要介護者の状態を確認することで、要介護者の健康を守り快適な生活をサポートできるでしょう。
プライバシーに配慮した環境を作る
おむつ交換には、要介護者のプライバシーへの配慮が求められます。
具体的に、おむつ交換を行う場所は、静かで人目がない空間を確保しましょう。カーテンやロールカーテンなどを利用して視界を遮るような工夫をすることが大事です。
また、おむつ交換中に必要以上に陰部を露出しないように、タオルや布をかけて隠すことも大切です。このように心のケアも忘れないようにしましょう。
さらに、介助者は言葉遣いや態度にも気をつけなければなりません。おむつ交換の際には、黙々とケアをするのではなく、名前を呼んだり声をかけたり、落ち着いたトーンで話しかけたりすることで、安心感を与えられます。
おむつ交換する際に皮ふをこすらない
おむつ交換をするときに、皮ふへの配慮は欠かせません。
というのも、寝たきり方や高齢者の場合は皮ふが敏感であり、摩擦による皮ふの損傷が起こりやすいためです。
例えば、おむつを外す際は無理に引っ張ってこすったりせず、少しずつ慎重に行うよう心がけましょう。水分をふき取る際も、ゴシゴシこするのではなく、押し拭き(肌にタオル等を当て、水分を吸わせる)を行ってください。 皮ふに直接触れる部分には、クリームやローションなどを使用して、潤いを保つことが効果的です。
また、おむつのサイズと介護者の体型が合わないと、ずれてしまい皮ふがこすれる原因となります。フィット感のあるおむつを選ぶことで、皮ふへの負担を軽減できます。
尿とりパッドを一度に何枚も使用しない
尿とりパッドを一度に何枚も使用すると漏れにくいように思えるかもしれませんが、何枚も重ねて使用することは基本的にはしないようにしましょう。その理由は、パッドがずれることで皮ふとの摩擦が生じて皮ふに負担がかかったり漏れたりした結果、皮ふの炎症や発疹が発生しやすくなるためです。
要介護者の状態や排尿の頻度に応じて、適切なタイミングで交換することで、清潔を保つことができ、尿とりパッドの効果を最大限に発揮できます。
さらに、高吸収タイプや通気性のある素材の尿とりパッドを選ぶことが大切です。
要介護者の気持ちを考え声かけしながらおむつ交換する
おむつ交換を始める前に「これからおむつを交換しますね」と声をかけることで、要介護者に状況を理解してもらうことが大切です。
また、おむつ交換中も「大丈夫ですか?」「痛くないですか?」「次はお通じを拭きますね」など手順を説明したり、要介護者の症状を確認しながら行いましょう。
声をかけることで不安な気持ちが解消され、気持ちが和らいだり、
何をされているのかを理解してもらえることで要介護者の不安を軽減できるかもしれません。
おむつ交換するときに要介護者の皮膚の状況を確認する
おむつ交換するときに、要介護者の皮ふの状態をチェックすることで、トラブルにすぐ対処できます。
要介護者の皮ふに赤みやかぶれ、湿疹が見られる場合は、すぐにケアを行うことで悪化を防ぐことができるでしょう。
寝たきりの要介護者のニオイ対策
ここでは、寝たきりの要介護者のニオイ対策を以下の3つにわけて解説します。
- 適切なタイミングでおむつ交換する
- 陰部の洗浄を丁寧におこなう
- 換気・消臭する
ニオイ対策は在宅介護を続けていく中で欠かせません。少しでも不快な環境が改善できるように整えましょう。
適切なタイミングでおむつ交換する
ニオイ対策には、おむつ交換のタイミングが重要です。
適切なタイミングでおむつ交換することで、要介護者の快適さを保つだけでなく、ニオイが発生するリスクを軽減できるためです。
特に、寝たきりの方は動くことが難しいため、尿意や便意を感じにくく、長時間の不快感や皮ふへの負担が増すことがあります。
そのため、尿や便の有無にかかわらず、一定の時間ごとにおむつを交換することで、常に清潔な状態を保つことができます。
また、食事後や水分摂取後も目安の一つです。食事をとると体内の水分量が増えるため、尿の排出も増加するからです。
さらに、入浴後はもちろん寝る前に交換することも、清潔感を保つための効果的なタイミングです。
適切なタイミングでの交換を心掛けることで、要介護者のより良い生活を支えられるでしょう。
陰部の洗浄を丁寧におこなう
在宅介護において、陰部の洗浄はニオイ対策として重要です。
実際に、洗浄するときは外側から内側に向かって行うのが基本です。特に、女性の場合は、尿道から肛門へ向かうように洗浄することで、細菌感染のリスクを減らすことができます。
洗浄後は、清潔なタオルで優しく水分をふき取りますが、ゴシゴシとこすらないように気をつけましょう。
陰部の洗浄を丁寧に行うことで、ニオイの発生を抑えるだけでなく、要介護者の心地よさを保つことができるでしょう。
換気・消臭する
定期的に窓を開け、新鮮な空気を取り入れることで、室内のニオイを軽減できます。換気扇がある場合は、積極的に使用することもおすすめします。
また、消臭剤や芳香剤の活用もしてみてください。市販の消臭スプレーや置き型の消臭剤を使用することで、ニオイを抑えられます。
ただし、強い香りのものはかえって不快に感じる場合もあるため、介護者の好みを考慮しながら選んでください。
くわえて、床や家具に付着したニオイの原因を取り除くため、定期的に拭き掃除を行うことが大事です。
介護のおむつ交換がつらいと感じたときに負担を軽減する方法
ここでは、在宅で介護をしていく中でおむつ交換を「つらい」と感じたときにできる5つのことを紹介します。
- 要介護者に合ったおむつや尿とりパッドを選ぶ
- ボディメカニクスを理解しておむつ交換する
- 排便コントロールをする
- ひとりで抱え込まない
- おむつを適切に処理する
この5つを実践することで、介護の負担を軽減できることがあります 。それぞれ詳しくみていきましょう。
要介護者に合ったおむつや尿とりパッドを使用する
適切なおむつや尿とりパッドを選ぶことで、その負担を軽減できることがあります。
要介護者の身体の状態や生活スタイルを考慮し、最適な製品を選ぶことがフィット感や吸収力に影響するためです。特に、寝たきりの方には伸縮性のあるタイプや密着性の高い製品が推奨されます。
また、要介護者の排尿パターンに応じて、吸収量が多いものや夜用の製品を選ぶことで、長時間の使用でも安心感が得られます。特に、尿漏れが気になる方には、二重構造や吸収ポリマーを使用したものを選ぶと、漏れの心配が減るでしょう。
ボディメカニクスを理解しておむつ交換する
介護のおむつ交換は、身体的な負担が大きく、介助者がつらく感じることがあります。
しかし、ボディメカニクスを理解し、適切な姿勢と動作を取ることで、この負担を軽減することが可能です。ボディメカニクスとは、できるだけ少ない力で介護を行うための技術のことです。
まず、正しい姿勢を保つことが基本です。おむつ交換の際には、腰を曲げずに膝を使ってしゃがむことが重要です。この姿勢をとることで、腰への負担が軽減され、介護作業で疲れにくくなります。
また、身体をひねることを避け、常に前面を向いたままで動くことが望ましいです。これにより、筋肉へのストレスを減らすことができます。
次に、動作をスムーズにするために、道具や材料をあらかじめ整えておくことが役立ちます。おむつや尿とりパッド、手袋、消毒用具などを手元に用意しておくことで、作業中に無駄な動きを省けます。
さらに、介助者と要介護者の身体の位置を意識することも大切です。介助者が身体を支えやすいように、要介護者の身体を介助者のほうに近づけると、動作がスムーズに進みます。これにより、介助者の腰や腕にかかる負担が軽減されるでしょう
ボディメカニクスについては、かかりつけ医や看護師など、関わっている方にご相談ください。よい方法を教えていただけると思います。
排便コントロールをする
おむつ交換は、要介護者にとって大きな負担です。
特に、排便に関するトラブルが頻繁に発生する場合、さらに負担が増えます。
そのため、毎日の食事や水分摂取、運動量などに気を配り、便通のタイミングを予測できるようにしましょう。特に、食事の後や特定の時間帯に排便することが多い場合、そのタイミングでおむつ交換を行うと余計な手間を省くことができます。
また、食事内容の見直しも効果的です。食物繊維が豊富な野菜や果物、適度な水分を摂取することが、排便の促進につながります。
さらに、排便の習慣が定着できるように、同じ時間にトイレに行くように促すと良いでしょう。このように、日常生活の中で排便のリズムを作ることが大切です。
かかりつけ医などにご相談してみてください。
ひとりで抱え込まない
在宅介護をする中で、おむつ交換の負担を感じることは珍しくありません。
特に、介護を担当する方がひとりだと、精神的にも身体的にも大きなストレスを抱え込んでしまいます。
そのため、ひとりで抱え込まずに、家族にサポートをお願いしましょう。
家族におむつ交換を手伝ってもらうなどして手を借りることで、介助者の身体的な負担やストレスを減らすことができます。
さらに、地域の介護サービスを利用することもひとつの手段です。例えば、次のようなサービスの利用を検討してみてください。
- 訪問介護
- デイサービス
- ショートステイ
- 夜間対応型訪問介護
- 小規模多機能型居宅介護
介護負担を軽減するためのサービスはさまざまであり、どのサービスを活用すべきか迷う方はケアマネジャーや市区町村の担当窓口で尋ねてみましょう。
また、介助者同士の交流も大切です。地域の介護者サポートグループに参加することで、同じ立場の人々と情報や体験を共有し、励まし合うことができます。これにより、孤独感を和らげ心の支えとなることもあります。
おむつを適切に処理する
おむつ交換を行う際、その後のおむつの処理も重要なポイントです。
おむつの処理は衛生管理やニオイの軽減、介助者の負担軽減に直結します。
おむつを取り外したら、汚れた面を内側に折り込み、しっかりと汚れを包み込みましょう。これにより、臭いや汚れが周囲に広がるのを防ぐことができます。
また、家庭内でおむつを処理する専用の蓋つきのゴミ箱を用意すると、臭いを閉じ込められます。ゴミ箱も定期的に清掃し、消臭剤を使用することでニオイ対策になるでしょう。
おむつ交換の際のおすすめのアイテム
ここでは、おむつ交換の際のおすすめのアイテムを3つ紹介します。
- やぶれにくいタイプのおしりふき
- 泡がやさしいおしり洗い
- スキンバリアクリーム
それぞれのアイテムを活用して、おむつ交換のネガティブな感情を少しでも軽減しましょう。
やぶれにくいタイプのおしりふき
「やぶれにくいタイプのおしりふき」は、弱酸性のローションを配合しており、ふんわり柔らかい素材のものであるため介護者の皮ふに優しい商品です。
丈夫なシートであり「トイレに流せるパッとおしりふき」の約11倍の強度があります(メーカー調べ)。
そのため、おしりを拭くときにシートが破れて何枚も使うといった手間が省けて、スムーズにおむつ交換できるでしょう。
泡がやさしいおしり洗い
「泡がやさしいおしり洗い」は、その名の通りやさしい泡でおしりを洗えるため、皮ふが弱くなっている高齢者にも安心して使いやすい商品です。
フィードラント香料配合で通常の香料の成分とは異なり、空気中に漂っている排泄物臭を取り込んで結合しやすい状態にすることで、イヤなニオイを良い香りに変化させます。
お湯を使わずに拭き取ってケアができ、すすぎがいらないため、在宅介護の場面でも使いやすいです。
スキンバリアクリーム
「スキンバリアクリーム」は、尿や便を撥水バリアではじくため、おむつ交換のときに排泄物を拭き取りやすく、要介護者の皮ふにやさしい商品です。
陰部に便や尿がつきにくくなるため、皮ふトラブルを予防できますし、サラッとした使用感で、おむつと皮ふの貼り付きを抑えます。
介護のおむつにかかる費用の負担を減らす方法
在宅介護では、おむつの費用が気になる方も多いでしょう。おむつのコストを抑えるためには、いくつかの方法は以下のとおりです。
- 要介護者がどのくらいの頻度でおむつ交換が必要か観察する
- おむつをまとめて購入することで割引や特典の適用を受ける
- 介護保険を利用する
- 市区町村のサービスを活用する
要介護者がどのくらいの頻度でおむつ交換が必要かを観察し、適切な量を把握しましょう。
また、介護保険や市区町村のサービスの中には、おむつや尿とりパッドなどの介護用品の購入に対する補助が含まれていることがあります。
必要な書類を提出することで、一定額の補助が受けられる場合があるため、事前に市区町村の役所に確認しておくと良いでしょう。
介護でおむつ交換をする際のQ&A
ここでは、介護でおむつ交換をする際のよくある質問に回答します。
- 高齢者のオムツ交換は1日何回くらいが目安ですか?
- おむつはすぐに変えたほうがいいですか?
この回答をチェックして、在宅介護でのおむつ交換の悩みを解決しましょう。
高齢者のオムツ交換は1日何回くらいが目安ですか?
一般的に、1日のおむつ交換の回数は4回から6回が目安とされています。
ただし、この交換頻度はそれぞれの状態や生活スタイルによって異なるため、あくまでも目安としてください。
また、日中と夜間での交換の必要性も考えるべきです。日中は活動的な場合が多く、頻繁に交換が求められる一方、夜間はトイレに行く回数が減るため、1回の交換で済むこともあります。
介助者は、その日の体調や生活リズムに合わせて、柔軟に対応することが求められます。定期的にチェックして、要介護者と介助者がより良い生活を送れるように努めましょう。
おむつはすぐに変えたほうがいいですか?
基本的には、排泄後はできるだけ早くおむつを交換することが推奨されています。
なぜなら、排泄した後、長時間同じおむつを使用したままであると、皮ふの負担が大きくなり、皮ふトラブルや感染症のリスクが高まるためです。
特に、高齢者は皮ふが敏感で湿疹やかぶれが生じやすいため、できるだけ早く交換することで、快適さを保つと同時に皮ふを守ることができます。
さらに、定期的におむつを確認し、状況に応じて交換することも重要です。
ただし、皮ふの状態や要介護者が不快感を抱いている様子がある場合は、早めに交換しましょう。
まとめ
この記事では、おむつ交換の手順や注意点を紹介しました。
おむつ交換は介護において重要であり、正しい手順と要介護者への配慮が必要です。おむつ交換の手順や注意点を知ることで要介護者と介助者双方の負担を軽減でき、要介護者の皮ふトラブルや感染症の予防にもつながります。
おむつ交換の負担が大きいと感じたときは、介護保険サービスを活用したりお住まいの市区町村の担当窓口に相談したりすることが大事です。
大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟などで看護師として14年間勤務。主に、急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療や介護、看護に関わる記事の執筆や監修を行っている。
Contents
【現役看護師によるコラム】
▶vol.01 要介護認定から始める在宅介護の基礎知識~要介護認定の基準や申請方法・在宅介護について~
▶vol.02 【認知症介護】在宅介護のポイント!限界と感じやすい3つの理由も解説
▶vol.03 移乗介助―移乗介助の方法・ポイント・注意点などについて
▶vol.04 介護のおむつ交換の手順!9つの注意点や負担を軽減する方法を解説
【介護コラム】
▶vol.01 初めての在宅介護 基礎知識~在宅介護を始める前に~
▶vol.02 介護と介助の違いとは?介助の種類や方法、失敗しないポイント
▶vol.03 介護用品の選び方|在宅介護に必要なものと選び方のポイント
▶ⅴol.04 入浴介助の手順と注意点、必要な介護用品、入浴介助の方法などについて
▶vol.05 車椅子の選び方・使い方、車椅子の介助方法などについて
▶vol.06 清拭(せいしき)の手順について|全身清拭・部分清拭の注意点とポイント
▶vol.07 在宅介護で看取りをするために必要なこと、準備や心のケアなどについて