在宅介護でよくある5つの悩みとは?介護疲れの対処法と事例を紹介

公開日:2024/12/26

メンタルケア

「在宅介護ではどのような悩みを感じているの?」「在宅介護で疲れたときにはどう対処したらいいの?」

在宅介護でこのように悩んでいる方はいませんか。

在宅介護は、介助者とって大きな負担となることがあります。介護をするなかで、さまざまな悩みを抱える方も少なくありません。

この記事では、在宅介護でよくある悩みや、介護に疲れたときの対処法を具体的に紹介します。この記事が、介護で悩んでいる方、これから介護が始まる方の不安を解消できるきっかけとなれば幸いです。

多くの介助者が在宅介護に悩みやストレスを感じている

在宅介護では、多くの介助者がストレスや負担を感じています。

厚生労働省の令和4年の国民生活基礎調査によると、在宅介護を担っている同居者で介護について悩みやストレスを感じている者は69.2%です。多くの介助者が在宅介護で何らかの悩みやストレスを感じていることが明らかとなりました。その悩みやストレスの内訳は、次のとおりです。

  • 家族の病気や介護
  • 自分の病気や介護
  • 家族との人間関係
  • 自由にできる時間のなさ
  • 収入・家計・借金

この結果から、介護は身体的な負担だけでなく、精神的・経済的な負担も大きいことがわかります。とくに、介護を担うのはパートナーであることが多く、長年連れ添った相手だからこそ、遠慮なく感情が出てしまい、関係が悪化してしまうケースも少なくありません。

また、自身の老後資金を介護費用に使わざるを得ない状況や、自身の健康状態の悪化も重なり、精神的に追い詰められてしまう介助者もいます。

参考:厚生労働省/国民生活基礎調査 令和4年国民生活基礎調査 介護

在宅介護でよくある5つの悩み

在宅介護は、介助者にとって心身ともに大きな負担となる場合があります。慣れない介護や終わりが見えない状況、自身の時間や生活の制約などさまざまな要因が重なり、悩みやストレスを感じるかもしれません。ここでは、次のよくある悩み5つを紹介します。

  • パートナーの介護が体力的につらい
  • 親の介護が精神的にしんどい
  • 自分の病気や介護が心配
  • 費用の負担が不安
  • 要介護者との人間関係でメンタルがやられる

それぞれの悩みを詳しくみていきましょう。

パートナーの介護が体力的につらい

在宅介護でよくある悩みは、パートナーの介護が介助者にとって体力的に負担となることです。

高齢の夫婦間での介護では、介助者も体力が低下していることが多く、より一層負担を感じやすいです。介助者は女性が担うケースが多いですが、男性が介助者の場合は、これまで家事をしてこなかった方も多く、戸惑ったり周囲の人とうまくコミュニケーションが取れなかったりすることもあります。とくに、次のような場面では介助者は負担を感じやすいです。

  • 車椅子からベッドへの移乗
  • トイレへの移乗介助
  • おむつ交換
  • 食事介助

こういった不慣れな作業であると身体に負担がかかります。腰や肩の痛みなどを抱えながら介護を続けている介助者も少なくありません。

また、トイレの介助やおむつ交換など深夜に介護をする場合もあり、長年にわたって熟睡できない状況であると睡眠不足が原因で心身の不調をきたす恐れがあります。 不調を感じたら、無理をせずに休憩を取ったり、介護サービスを利用したりしてゆっくりする時間を取るなど、早めに対策を取ることが大切です。

親の介護が精神的にしんどい

在宅介護における悩みのひとつに、親の介護に対する精神的なしんどさがあります。

というのも、親への感謝の気持ちと、思うようにできない自分への不甲斐なさ、将来への不安など、複雑な感情が入り混じり、精神的に追い詰められてしまう場合もあるためです。

とくに、おむつ交換や尿もれへの対応などは、精神的にきついと感じやすいです。また、食事を食べてくれずに悩むケースも多く、作った料理をなかなか食べてくれないと、悲しい気持ちになったり、どうしたら良いのか分からなくなったりします。

さらに、親が認知症を患っている場合だと、会話がスムーズにいかなかったり、夜間の徘徊があったりするでしょう。介助者の思いが伝わらないことによるイライラや対応に追われることによる疲労感も大きくなりやすいです。

精神的な負担を感じたら、ひとりで抱え込まず誰かに話を聞いてもらう、もしくはカウンセリングを受けたり、地域の相談窓口に相談したりなど心のケアをすることも大切です。

自分の病気や介護が心配

介助者は自身の健康状態が悪化してしまうと、十分に介護ができなくなってしまうため、病気や介護の不安を感じることもあるでしょう。

先述した厚生労働省の調査によると、介助者の悩みやストレスの原因は「自分の病気や介護が心配である」と回答している割合は男性35.0%、女性24.4%となっており、いずれも2番目の多さです。

介助者は、要介護者を移乗したり、おむつを交換したりなど中腰での作業や同じ体勢を続けることなどから、肩や腰に負担を感じやすいです。

また、精神的なストレスから体調を崩してしまう介助者もいます。自身の健康状態も考慮しながら、無理のない介護を続ける方法を考える必要があります。

費用の負担が不安

在宅介護にかかる次のような費用の負担も、よくある悩みのひとつです。

  • 介護サービス利用料
  • 医療費
  • おむつやおしり拭きなどの消耗品費
  • バリアフリー改修費用

在宅介護ではさまざまな費用が発生します。介助者のなかには、定年退職を迎えて年金で生活している場合や介護するために仕事を辞めている場合など、収入が少ないなかで介護サービス費用を負担し続けなければならないケースもあります。

この生活がいつまで続くかわからないという将来への不安が、さらにストレスとなるでしょう。

また、親の介護の費用を誰が負担するのかで、兄弟間や親族間でトラブルになるケースもあります。費用の負担が不安な場合は、自治体の介護保険課や地域包括支援センターなどに相談し、利用できる制度やサービスを確認することをおすすめします。

さらに、家族間でしっかりと話し合い、費用の負担について合意しておくことも大切です。

介護者との人間関係でメンタルがやられる

在宅介護をしていくなかで、介助者と要介護者との人間関係が悪化するケースもあります。

介護に対する考え方の違いや役割分担の不公平感、日々の疲れからくるイライラなどの負担が原因で、家族間の関係が悪くなることも少なくありません。これらの負担が強くなると、虐待につながるケースもあります。 要介護者と介助者、双方にとって良好な関係を保つことは、在宅介護を続けるうえでとても重要です。関係が悪化していると感じたら、早めに第三者に相談したり、介護サービスを利用して物理的に距離を置いたりなど適切な対応が必要です。

在宅介護の悩みは介護者の状態によって変わる

メンタルケア 介護度別

在宅介護の悩みは、要介護度や認知症の有無、終末期であるかどうかなど、介護を必要とする方の状態によっても大きく変わります。

  • 要介護度が重くなると介護負担は大きくなりやすい
  • 認知症の介護負担は大きくなりやすい
  • 終末期の介護負担は大きくなりやすい

同じ在宅介護でも、要介護度が高ければ身体的な負担が増し、認知症の場合は精神的な負担が増加する傾向にあります。ここでは「要介護度」「認知症」「終末期」という3つの観点から、それぞれの状態によって起こりやすい負担について具体的に説明します。

要介護度が重くなると介護負担は大きくなりやすい

要介護度が重くなると、食事や入浴、排泄などの日常生活全般において介護が必要となるため、身体介助の必要性が高まり、介助者の負担は大きくなりやすいです。

とくに、移乗介助や体位変換などは、介助者にとって大きな負担となります。

要介護と認定された方がいる世帯は次のとおりです。(令和4年 厚生労働省 国民生活基礎調査)

  • 単独世帯 :30.7%
  • 核家族世帯:42.1%(うち夫婦のみ25.0%)
  • 三世代世帯:10.9%
  • その他  :16.4%
  • 高齢者世帯:61.5%

要介護者のいる世帯で高齢者世帯は61.5%です。要介護者だけでなく介護者も高齢になることから、家族間では介護の負担を軽減できない恐れがあります。

要介護者の状態が悪化すると、目が離せない時間が増えるため、介助者は自分の時間を確保することが難しくなり、精神的な負担も大きくなります。

認知症の介護負担は大きくなりやすい

要介護者が認知症を患っているケースでは、介護の負担が大きくなりやすいです。その理由は、認知症になると次の症状があらわれ介護に影響するためです。

  • 数分前の出来事をすぐに忘れる
  • 日付や場所が分からなくなる
  • 手続きや貯金の出し入れができなくなる

認知症になると記憶障害や見当識障害、実行機能障害などの認知機能の低下だけでなく、周辺症状と呼ばれる行動・心理症状があらわれることがあります。

さらに、昼夜逆転や物盗られ妄想、暴力・暴言行為などの認知症の症状によっては、昼夜問わず対応しなければなりません。

そのため、認知症の介護は、とくに負担が大きくなりやすいといえるでしょう。

気になる方はこちらの記事も参考にしてみてください。

参考:国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所/認知症 こころの情報サイト

終末期の介護負担は大きくなりやすい

終末期の介護負担も大きくなりやいです。

介助者が要介護者の症状や死と向き合わなければならず、心身ともに負担を強く感じやすいためです。介護を続けている状況で死を迎えることで「私のケアが良くないから亡くなった」「もっと良いケアができたのではないか」など考えてしまうこともあるでしょう。

終末期のケアには、訪問看護やホスピスの利用が推奨されます。これにより、家族の負担を軽減しながら、患者さまが穏やかに過ごせる環境を整えられます。

加えて、家族が安心して見守れる体制を整えるためには、具体的なケア方法や心構えについて専門家から指導を受けることが効果的です。

また、介助者自身の精神的な負担を軽減するために、カウンセリングや家族会などの外部サポートを利用することも大切です。必要に応じて、他の家族や友人との協力体制を構築することで、長期的な介護にも対応しやすくなります。

在宅介護で看取りをするための準備や心のケアなどについて、さらに詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。

介護疲れがある?セルフチェックする方法

介護をしているなかで、疲れを感じることもあるでしょう。たとえば、次のような状態が続く場合は、介護疲れが溜まっているかもしれません。

  • 眠れない日が続く
  • 食欲がない
  • イライラすることが増えた
  • 何もする気が起きない
  • 物事に興味がわかない
  • 人に会ったり、話したりするのが面倒に感じる

このような状態が続く場合は、無理をせず、休息をとることが大切です。介護疲れは、身体的な症状だけでなく、精神的な症状として現れることもあります。たとえば、些細なことで怒りっぽくなったり、悲しくなったり、不安を感じたりするのも、介護疲れのサインかもしれません。

もし、このような状態が長く続くようであれば、医療機関や地域の相談窓口に相談することも考えてみてください。専門家のアドバイスを受けたり、人に話を聞いてもらったりするだけでも、気持ちが楽になることがあります。

ひとりで抱え込まず、誰かに話を聞いてもらうことも、大切な対処法のひとつです。

在宅介護に疲れて介護うつになりやすい人の特徴

在宅介護では、心身ともに疲れてしまい、介護うつになる介助者もいます。大切な方の介護をしているのに、自分が落ち込んでしまうことに罪悪感を覚える方もいるかもしれません。

しかし、それは決して特別なことではなく、自分を責める必要はありません。介護は、想像以上に心身に負担のかかることだからです。

先述したように、介助者の69.2%に悩みやストレスがあることが明らかにされました。また、ある調査によると介助者の4人に1人は介護うつであるとされています。

とくに、次のような特徴を持つ介助者は、介護うつになりやすいといえるでしょう。

  • 気が弱い人
  • 責任感が強い人
  • 完璧主義の人
  • 相手の気持ちに敏感な人
  • ひとりで抱え込みやすい人

このような方は、とくに介護うつの症状がないか注意が必要です。周りに相談したり、サービスを利用したりするなど、ひとりで抱え込まないようにすることが大切です。

責任感が強い方は、「自分がしっかりしなければ」と無理をしがちであり、完璧主義の方は、「もっとうまく介護しなければ」と自分を責めてしまいがちです。

また、ひとりで抱え込みやすい方は、誰にも相談できずに孤立してしまうことがあります。

これらの特徴に当てはまる介助者は、意識して周りの人に頼るように心がけましょう。家族や友人、地域の相談窓口など頼れる場所はたくさんあるため、ぜひ活用してみてください。

在宅介護で限界を感じる前に!介護に疲れたときの対処法

在宅介護で限界を感じる前に、適切に対処することが大切です。限界を超えてしまうと、介護を続けることが難しくなるだけではなく、介助者が何らかの病気になるリスクが高まるためです。次のような方法で介護疲れに対処しましょう。

  • 在宅介護の負担を軽減する商品を活用する
  • 介護サービスの利用を検討する(レスパイトケア)
  • 自費での介護サービスの利用を検討する
  • 家族と介護の負担を軽減できるように話し合う
  • 職場に相談して業務を調整する
  • 家族会といった場に参加する
  • 最低限の介護スキルを身につける
  • 介助者なりのストレス発散方法を身につける
  • 介護施設への入所を検討する

それぞれの方法を具体的に紹介するため、介護疲れに悩んでいる介助者は参考にしてみてください。

在宅介護の負担を軽減する商品を活用する

介護用品をうまく活用すると、介助者の身体的な負担を軽減するだけでなく、精神的な負担を軽くする効果もあります。たえば、以下のような商品を活用することで負担を減らせるでしょう。

「トイレに流せるパッとおしりふき」は汚れが付きにくくなる成分が入っているため、次のケアが楽になります。

「ふくだけで簡単シャンプーナップ」は、水やタオルを使わずに拭くだけで汚れやフケを取り除くことができ、ほのかなシトラスの香りで気持ちもリフレッシュできます。

「泡でさっぱりからだふき」は泡タイプでサッと手早く身体を拭くことができ洗い流す必要はないため、入浴できない方に活用でき、介助者の負担を軽減できるでしょう。

介護用品を選ぶ際は、ケアマネジャーや福祉用具の専門家に相談すると、適切な商品を選べます。また、自治体によっては、介護用品の購入費やレンタル費の助成制度がある場合もありますので、最寄りの自治体のホームページ、もしくは問い合わせて確認してみてください。

介護サービスの利用を検討する(レスパイトケア)

介護に疲れを感じたときはレスパイトケアとして介護サービスを活用するのも一手です。

レスパイトケアは、介護をしている方が一時的に休息できるようにサポートを行うサービスです。介助者は、24時間体制で気が張っている状態が続くため、心身ともに疲れが溜まりやすいです。

レスパイトケアを利用することで、心身のリフレッシュを図り、前向きな気持ちで介護に取り組めるでしょう。たとえば、以下のようなサービスがあります。

  • ショートステイ:短期間施設に入所する
  • デイサービス:日帰りで施設に通う

これらのサービスを利用することで、介護から離れる時間を作れます。ショートステイを利用すれば、数日間まとまった休息時間を確保でき、デイサービスを利用すれば、日中の数時間、自分の時間を持てます。

これらの時間を活用して、趣味を楽しんだり、ゆっくり休んだりすることで、心身のリフレッシュを図ることが可能です。利用できる介護サービスは、お住まいの地域の地域包括支援センターやケアマネジャーに相談すると、詳しく教えてもらえるでしょう。

自費での介護サービスの利用を検討する

費用負担に余裕がある場合や介護保険でカバーできないときは、自費でのサービスの利用も考えてみましょう。介護保険のサービスは、要介護度によって利用できるサービスや回数に制限があるため、必要なサービスを十分に受けられない場合もあります。

自費サービスを利用することで、より柔軟に、必要なサービスを受けられます。たとえば、次のようなサービスがあります。

  • 家事代行:掃除や洗濯、調理などを代行
  • 介護者の移送サービス:病院への付き添いや外出などをサポート
  • 配食サービス:栄養バランスの取れた食事を自宅まで配送

これらのサービスは、介護保険サービスと併用することも可能です。介護保険のデイサービスを利用しながら、自費で家事代行サービスを利用するといった使い方もできます。

サービスを活用して、うまく組み合わせることで、介護の負担をさらに軽減できるでしょう。

家族と介護の負担を軽減できるように話し合う

介護疲れを感じるときは、家族と介護の負担を軽減できるように話し合うことが大切です。

介助者のなかには、介護をひとりで抱えなければならないと思っている方もいます。介護は、ひとりで抱え込むには重い負担です。

家族で協力し合うことで、負担を分担し、精神的な支えにもなります。兄弟や子どもらと話し合って、介護の一部を負担してもらうなど、介護をする方の負担を軽くする取り組みが必要です。

たとえば、兄弟で曜日を分担して介護にあたったり、子どもたちが交代で実家に帰って様子を見に行ったりするなどの方法があります。また、遠方に住んでいる家族がいる場合は、電話やオンラインで連絡を取り合い、情報共有をすることで、精神的な支えになることもあります。

家族で協力して介護を担うことで、精神的な負担も軽減でき、介護疲れを感じにくくなるでしょう。

職場に相談して業務を調整する

職場に相談して、業務を調整することも介護疲れを感じたときの対処法です。

介護と仕事の両立は難しく、介助者には、介護と仕事の両立に悩んでいる方も多いです。時間的な制約だけでなく、精神的な負担も大きいため、両立が難しいと感じる介助者も少なくありません。

働く時間を変更したり、配置換えを考えたりなど調整が大切です。具体的には、時短勤務に変更したり、フレックスタイム制度を利用したり、在宅勤務に切り替えたりするなどの方法があります。

また、介護休暇といった職場にある制度を活用しましょう。事前に職場に相談することで、働きながら介護をするためのサポートを受けられる場合があります。介護休業や有給休暇といった制度を利用することで、まとまった時間を作ることも可能です。

家族会といった場に参加する

介護をしているときに周りの人に理解してもらえず、介護疲れを感じてつらくなったときは、家族会といった場に参加することが大事です。

というのも、家族会には同じ悩みや思いを持った家族が集まり悩みを共有できたり、新しい情報を得られたりするためです。

たとえば、ほかの参加者から介護サービスの利用方法や介護用品の情報、介護の工夫などを教えてもらえます。

地域の社会福祉協議会や自治体の介護担当の窓口などで、家族会に関する情報を得られます。インターネットで「介護 家族会 ○○(地域名)」と検索すると、地域の家族会情報を探すこともできます。

最低限の介護スキルを身につける

最低限の介護スキルを身につけると、負担を軽くできます。さらに、介護スキルを身につけることで、自信を持って介護に取り組めるでしょう。

また、介護サービスを利用する際にも、よりスムーズにコミュニケーションを取れます。たとえば、おむつ交換や車椅子への移乗、排せつ介助などです。これらのスキルを身につけることで、介護の際の身体的な負担を軽減できます。

介護サービスを受ける際にケアマネジャーやヘルパーに質問したり、市区町村の介護教室に参加したりすると効果的です。なかには、無料で参加できる研修や教室があるため活用してみましょう。

食事介助や入浴介助の手順や注意点については、下記の記事で詳しく解説しました。今すぐ活用できるスキルを紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

介助者なりのストレス発散方法を身につける

介助者は、自身のストレス発散方法を身につけられると、介護の限界を感じにくいです。

具体的には、リラックスできる音楽を聞いたり、入浴剤を使ったり、読書したりするなど、自分なりのストレス発散方法をうまく取り入れましょう。

介護から離れる時間をもつことで、介護に前向きに取り組めるようになります。ストレスを溜め込んでしまうと、心身の健康を害してしまう可能性があります。

そのため、定期的にストレスを発散することが大切です。月に一度は自分のための時間を作ったり、友人と食事に行ったり、趣味を楽しんだりするなど意識してストレスを発散する機会を作りましょう。

介護施設への入所を検討する

これまでに紹介した介護サービスを活用したり、介護スキルを身につけたりする方法を取り入れても対応できない場合は、介護施設への入所を検討しましょう。

在宅介護は、住み慣れた場所で家族の温かさを感じながら生活できるというメリットがあります。一方で、介助者の負担が大きくなりがちで、在宅での介護を続けられなくなる場合があります。

介護施設への入所は、決して「諦め」ではありません。介助者と要介護者、双方にとってより良い選択となる場合もあります。

ただし、介護施設には定員が決まっており、希望者が全員入所できるとは限りません。なかには、入所するまで数年待ちというケースもあるため、介護施設への入所を考え始めたタイミングでケアマネジャーに相談しておくことが大切です。

介護施設には、様々な種類があります。それぞれの施設の特徴を理解し、要介護者の状態や介助者の状況に合った施設を選ぶことが重要です。たとえば、次の施設への入所を検討すると良いでしょう。

  • 特別養護老人ホーム(特養): 重度の要介護者向けの施設で、比較的費用が抑えられる
  • 介護老人保健施設(老健): 在宅復帰を目的とした施設で、リハビリテーションが充実している
  • 介護付き有料老人ホーム: 民間の施設で、サービス内容や費用は施設によって異なる
  • グループホーム: 認知症の方を対象とした少人数制の施設である

これらの施設の違いや入所の手続きなどについても、ケアマネジャーに相談することで詳しく教えてもらえます。また、希望の施設には入所前に見学に行くこともおすすめです。

施設の雰囲気や設備、スタッフの対応などを実際に見て、要介護者が安心して過ごせるかどうかを判断しましょう。

介護施設への入所は、患者さまにとって環境の変化となるため、不安を感じる方もいます。入所前に、体験入所を活用して施設の環境に慣れてもらうことも大切です。また、入所後も、ご家族が定期的に面会に行くことで、要介護者の不安を和らげられます。

まとめ:在宅介護で悩みを抱えやすい人は負担を軽減するために商品や介護サービス活用しよう

メンタルケア

在宅介護では、さまざまな悩みを抱えることがあります。介護は長期にわたるため、心身ともに負担が溜まりやすいです。

そのため、ひとりで悩まず、周りに相談したり、介護サービスや便利な商品を活用したりすることで負担を軽くすることが重要です。無理をせず、自分自身を大切にしながら、介護に取り組んでいきましょう。

[ピジョンタヒラ株式会社」では、今回紹介した3つの商品以外にも介護に役立つ、介護の負担を軽減できる商品を取り揃えております。介護の悩みを解決するためにも、ぜひ活用してみてください。

お問い合わせにも対応しているため、お気軽にご相談くださいませ。




プロフィール
西川正太(看護師/保健師)
大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟などで看護師として14年間勤務。主に、急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療や介護、看護に関わる記事の執筆や監修を行っている。
 



Contents

【現役看護師によるコラム】

▶vol.01 要介護認定から始める在宅介護の基礎知識~要介護認定の基準や申請方法・在宅介護について~

▶vol.02 【認知症介護】在宅介護のポイント!限界と感じやすい3つの理由も解説

▶vol.03 移乗介助―移乗介助の方法・ポイント・注意点などについて

▶vol.04 介護のおむつ交換の手順!9つの注意点や負担を軽減する方法を解説

▶vol.05 在宅介護でよくある5つの悩みとは?介護疲れの対処法と事例を紹介

▶vol.06 高齢者が眠れない原因とは?在宅介護でモーニングケアが大切な理由と基本手順


【介護コラム】

▶vol.01  初めての在宅介護 基礎知識~在宅介護を始める前に~

▶vol.02  介護と介助の違いとは?介助の種類や方法、失敗しないポイント

▶vol.03  介護用品の選び方|在宅介護に必要なものと選び方のポイント

▶ⅴol.04  入浴介助の手順と注意点、必要な介護用品、入浴介助の方法などについて

▶vol.05  車椅子の選び方・使い方、車椅子の介助方法などについて

▶vol.06  清拭(せいしき)の手順について|全身清拭・部分清拭の注意点とポイント

▶vol.07  在宅介護で看取りをするために必要なこと、準備や心のケアなどについて

▶vol.08  食事介助の手順と注意点とポイントについて

▶vol.09  排泄介助(トイレ介助)の手順と注意点とポイントについて