移乗介助―移乗介助の方法・ポイント・注意点などについて

公開日:2024/11/19

在宅介護 移乗 移乗方法 介助の仕方

「移乗の介助はどうすればいいの?」「まひがある人への介助の方法がわからない」

このように悩んだり心配になったりしていませんか。

移乗は、日常生活を介助するなかでも要介護者や介助者、両者にとって負担のが大きい動作のひとつです。

この記事では、移乗の介助方法と片まひや足に力が入らない方への対応方法などについて詳しく解説します。移乗の介助方法や注意点が分からず悩んでいる方への手助けになれれば幸いです。

移乗とは

移乗とは「ベッドから車椅子へ」「車椅子から便座へ」「車椅子からポータブルトイレへ」などさまざまなところへ乗り移ることです。

移乗は、要介護者が生活していくなかで頻繁に行なわれる動作であり、生活範囲を広げるためには欠かせません。

要介護者本人の力を活用して、介助者が部分的に介助することを一部介助、病気やケガなどの理由で介助者が全てを介助することを全介助と呼びます。

実際に移乗を支援する場面では、要介護者の身体の状況やシチュエーションに合わせて介助の方法を変更していくことが大切です。

参考:厚生労働省/13移乗(移動・移乗介助、体位変換(Excel))

ベッドから車椅子へ移乗介助する際の手順とポイント

まずは、ベッドから車椅子へ移乗介助する際の手順とポイントを紹介します。

  1. 車椅子をベッドのそばに寄せ、車椅子の座面とベッドの高さを合わせる(ベッドに対して車椅子を30度の角度の位置)
  2. 移乗しやすいように要介護者をベッドの端にに座らせる(介助者は膝をつき、要介護者の腰を支える。座位が保てない方の場合は支えながら実施する)
  3. ベッドに車椅子を引き寄せ両側のブレーキをかける(フットサポートは上げる、もしくは着脱可能のものは取る)
  4. 車椅子の両側のアームサポートを上げる
  5. 要介護者を前傾姿勢にして、車椅子の座面に渡るようにおしりの下にスライディングボードを挿入する、(おしりをボードで傷つけないように注意)
  6. 車椅子側の要介護者の足を一歩前に出し、片方を後ろに引く(フットサポートで足首や足先を傷つけないように注意)
  7. 要介護者を前傾姿勢とし、車椅子側に少し身体を傾け、重心を移動させる(要介護者はバランスを崩しやすいため、介助者は常に要介護者の身体を支えておく)
  8. ベッド側に要介護者を傾けながら、おしりを車椅子の奥に押し込むように滑らせる
  9. ベッド側とは反対に要介護者を傾け、スライディングボードを引き抜く
  10. 車椅子のアームサポートを戻す
移乗介助 ベッドから車いす

一つひとつの手順とポイントをおさえることが、要介護者を安全に移乗させるためには欠かせません。また、適切な手順を踏むと要介護者と介助者、双方にとって移乗の負担を軽減できるでしょう。

【車いす】ラクリオでの座らせ方 ベッドから車いすへの移乗方法

車椅子からベッドへ移乗介助する際の手順とポイント

スライディングボード 介護移乗介助

次に、車椅子からベッドに移乗する際の手順とポイントを解説します。

  1. 車椅子をベッドのそばに寄せ、車椅子の座面とベッドの高さを合わせる(車椅子はベッドに対して約30度の角度の位置)
  2.  両側のブレーキをかけ、ベッド側のアームサポートを上げる
  3. 要介護者を車椅子の前方に移動させる
  4. 要介護者を前傾姿勢として、ベッドに渡るようにおしりの下にスライディングボードを挿入する。(おしりをボードで傷つけないように注意)
  5. 介助者は腰を落とし要介護者の腰に腕を回して添える(要介護者は介助者の首に手を回す)
  6. ベッド側 の要介護者の足を一歩前に出し、片方を後ろに引く(フットサポートで足首や足先を傷つけないように注意)
  7. 要介護者を前傾姿勢にして重心を前に移動させる
  8. 車椅子側に要介護者を傾けながら、重心を移動させる(頭部をベッド柵で打たないように注意)
  9. ベッドに要介護者を傾け、スライディングボードを引き抜く
  10. 要介護者のベッド上の姿勢を整える
移乗介助 車椅子からベッドへ

この手順とポイントをおさえて、要介護者が足をケガしたりおしりを痛めたりするなどの事故につながらないように注意して移乗させてくださいね。

移乗介助の注意点【シーン別】

シーン別の移乗として、細かく場面を設定しました。

基本的な流れは上記の車いすとベッドの移乗の手順とポイントを参考にして、ここでは注意点を詳しく紹介します。

また、車への移乗に関しては、福祉車両があると車椅子に乗ったまま車に乗れるため便利ですが、ここでは、移乗を前提として解説します。 これらの点に注意しながら、思わぬ事故が起きないように介助を行ってみてください。

居室での移乗介助の主な注意点

居室での移乗介助においては、以下のような場面が考えられます。

  • ベッドから車椅子へ移乗介助
  • 車椅子からベッドへ移乗介助
  • 車椅子から椅子へ移乗介助 
  • 椅子から車椅子へ移乗介助

それぞれの注意点は、全ての車椅子への移乗介助の際に言えることです。ここでは、特に注意すべき点についてシーン別で確認していきましょう。

ベッドから車椅子への移乗介助

ベッドから車椅子へ移乗介助する際の主な注意点は「膝折れ」です。

というのも、立ち上がる際に起立性低血圧によりめまいを起こすことで、急に膝に力が入らなくなり、倒れる(膝折れする)恐れがあるからです。

特に、寝たきりの場合や病気のための安静が必要な場合で、長期間ベッドに横になっている要介護者を、車椅子やポータブルトイレなどに移乗介助するときに起こるかもしれません。

そのため、車椅子への移乗介助する前に体調を確認したり、要介護者が立ったときに「気分は悪くないですか?」「めまいはしませんか?」などと声をかけたりして、車椅子から転落しないように注意しましょう。 さらに、車椅子のブレーキは、移乗介助する前にしっかりと確認して、事故を起こさないようにしてくださいね。

車椅子からベッドへの移乗介助

車椅子からベッドへ移乗介助するとき、特に注意しなければならない点は「要介護者の皮膚が傷つくこと」です。

足元付近にはフットサポートなどのフレームがあり、高齢者は皮膚が弱くなっているためこれらに少しぶつけただけで内出血が起こるリスクがあるからです。

強い衝撃が加わると、皮膚が剥がれたり擦れたりするなどといった皮膚に損傷を起こすかもしれません。

車椅子のフットサポートを上げたり、フットサポートにクッションのカバーをつけてフレームの部分がむき出しにならないように保護したりして皮膚が傷つかないように対策をしてください。 「足は痛くないですか?」「ゆっくりと移りますね!」と声をかけて、足元を確認しながら移乗介助することも忘れないようにしましょう。

車椅子から椅子への移乗介助

車椅子から椅子への移乗介助をするときに、特に注意しなければならない点は、「ずり落ち」です。

ずり落ちとは、腰の位置が下がり姿勢が崩れてしまう状態のことで、椅子に移乗した際に浅く座ったり座布団が滑ったりする恐れがあります。厚生労働省「福祉用具ヒヤリハット事例集」でも、このずり落ちは多く報告されています。

具体的には、要介護者を車椅子に移してテーブルの前に移動した後で、目を離したところずり落ちて要介護者の首がテーブルに挟まりそうになった事例があります。

そのため、体格に合った車椅子を利用したり、クッションやパッドなどを置いたりして姿勢が崩れないような工夫をしましょう。

可能な場合は、要介護者に椅子のひじ掛けを握ってもらってください。

また、椅子自体が軽かったり椅子にタイヤが付いていたりするタイプのものは、動きやすく、移乗介助の際にバランスを崩す可能性があります。

そのため、重さのある椅子を選んだり、タイヤをロックしたりして転落への配慮は欠かさないようにしましょう。

参考:厚生労働省/福祉用具ヒヤリハット事例集2019(PDF)

椅子から車椅子への移乗介助

椅子から車椅子に移乗する際にも「ずり落ち」に気をつけなければなりません。

要介護者がずり落ちたことに気づかなければ、そのまま尻もちをついて骨折してしまう恐れがあります。

高齢者は加齢にともなうさまざま要因により骨折しやすい状態となっています。

介助者は要介護者から目を離さないように注意してください。

トイレでの移乗介助の主な注意点

ここでは、トイレでの移乗介助の主な注意点を紹介します。

  • 車椅子から便座への移乗介助
  • 便座から車椅子への移乗介助

それぞれのポイントをしっかり押さえて、安全な移乗介助を実現しましょう。

車椅子から便座への移乗介助

車椅子から便座への移乗介助をするときには「転落」に注意してください。

なぜなら、全ての自宅のトイレが介助するために広くなっているわけではなく、要介護者を抱えてから便座までが距離がある可能性があるからです。

広いトイレの場合は、車椅子を便座に向かって直角に配置できるため移乗介助もスムーズにできます。

しかし、一般のトイレの場合は移乗介助をするための十分な広さを確保しにくいことから、車椅子を便座から少し離して正面に配置しなければなりません。要介護者を立たせる距離が長いと、転落するリスクが増します。

また、便座にしっかり深座りさせなければ、座った姿勢が安定しないため便座から転落する可能性があります。

そのため、トイレの手すりを持たせたり、福祉用具でうまくサポートしたりして安全な支援を目指しましょう。 さらに、ズボンやパンツを脱がせるときやおしりを拭いているときも、要介護者がふらついていないか、無理な姿勢ではないかなど要介護者の様子を十分に観察しましょう。

便座から車椅子への移乗介助

便座から車椅子への移乗介助をするときにも「転落」に注意しなければなりません。

車椅子から便座に移乗介助するときと同じ注意点ですが、転落が発生する理由が異なります。

便座から車椅子への移乗介助の際には、便座から車椅子まで距離があることに加えて、車椅子のブレーキをかけ忘れるケースがあるからです。先述した資料(福祉用具ヒヤリハット事例集)によると、ブレーキをかけなかったため、後ろの方に転倒しそうになったという事例も報告されています。

さらに、排尿や排便をする際に、副交感神経のひとつである迷走神経が刺激されて活発になる(身体は休んでいる状態)と、血圧や脈拍が下がります。

特に、排便のために強くいきんだときや便座から立ち上がるときに、めまいや気分が悪くなる危険性が高まります。。

結果として、一時的に脳に血液が流れなくなり倒れてしまうことがあるため、立ち上がる前に要介護者の自覚症状を確認するようにしましょう。

排泄の介助の手順と注意点などについては、下記の記事でも詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてくださいね。

参考:KOMPAS|慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト/血管迷走神経失神(含むアルコール失神、排尿失神) 

車での移乗介助の主な注意点

車への移乗介助 手順

ここでは、車での移乗介助際の手順と注意点を解説します。

  • 車椅子から車への移乗介助
  • 車から車椅子への移乗介助

車を使う機会も多いと思います。基本的な流れは変わりませんが、他に比べて狭い空間への移乗になりますので、こちらでは注意点の他に詳しく手順もご説明します。

車椅子から車への移乗介助

ここでは、車椅子から車への移乗介助について説明します。

  1. 車椅子と車のドアの間に介助者が入るスペースを開けたうえで車椅子を止める(車椅子を車に対して約30度の角度の位置)
  2. 両側のブレーキをかけ、車側のアームサポートを下げる。
  3. 要介護者を車椅子の前方に移動させる
  4. 要介護者を前傾姿勢として、介助者は腰を落とし要介護者の腰に腕を回して添える(要介護者は介助者の首に手を回す)
  5. 車に近い方の要介護者の足を一歩前に出し、片方を後ろに引く(フットサポートで足首や足先を傷つけないように注意)
  6. 要介護者が立ち上がったら身体の向きを変える(車に近い方の足を軸に回転する)
  7. 座面の高さまでしっかりとおしりを持ち上げつつ、頭がぶつからないように、要介護者を前傾姿勢にして座席に座らせる。
  8. 座席に座れたら、背中を支えながら姿勢が安定するように介助する

車椅子から車へ移乗介助するときに注意すべきポイントは「介助者が膝を伸ばしたままの状態で要介護者を座らせないこと」です。

きちんと座れていない場合は座り直しが必要となり、要介護者と介助者ともに身体に負担がかかり時間も必要です。

また、介助者が膝を伸ばしたままで腰を曲げてしまうと、介助者が腰を痛める原因にもなります。

車の移乗は車によって座面の高さが違ったり、ドアや天井もあり要介助者の頭をぶつけやすいため、頭を下げることを忘れないようにしましょう。

車から車椅子への移乗介助

次に、車から車椅子へ移乗介助する方法を解説します。

  1. 車椅子を車のそばに寄せ、介助者が入るスペースを開けたうえで車椅子を止める(車椅子を車に対して約30度の角度の位置)
  2. 両側のブレーキをかけ、車側のアームサポートを上げる。
  3. 車で前を向いていたのを、要介護者の背中を支えながら両足を引き寄せて扉の方、外に足を出す
  4. 要介護者の身体を傾けて片側ずつ前にずらして、足が地面につくようにする
  5. 車に乗った状態のままで、車椅子に近い方の要介護者の足を一歩前に出す
  6. 介助者は腰を落として要介護者の腰に腕を回して添える(要介護者は介助者の首に手を回す)
  7. 立ち上がったら身体の向きを変える(車椅子に近い方の足を軸に回転する)
  8. 要介護者が車椅子にまっすぐ座れることを確認してゆっくり車椅子におろす
  9. 姿勢を整えてフットサポートやアームサポートを戻す

車から車椅子への移乗介助で注意すべき点は「車椅子に座るときにゆっくりと座らせ車椅子が倒れないようにすること」です。

車の座席は高さの調整が難しいので、体に負担がないように声をかけながら、要介護者ができるところは無理やりやらずに手伝ってもらいましょう。

車椅子を利用している要介護者がよく車で移動する場合は、福祉車両の使用を検討しても良いでしょう。

移乗介助の注意点【状態別】

要介護者の状態によって、移乗介助の注意点は異なります。ここでは、次の2つのケースを詳しく解説します。

  • 足に力が入らない人を移乗する場合
  • 片まひの人を移乗する場合

それぞれの注意点を踏まえて、移乗介助をスムーズに行いましょう。

足に力が入らない人を移乗する場合

要介護者のなかには、足に力が入らない人もいるでしょう。この場合は、移乗介助する難易度が高くなります。

足に力が入らない要介護者をうまく移乗介助できなければ、膝折れして転落したりケガにつながったりする恐れがあるからです。

また、足に力が入らない場合は、体幹や手にも力が入らないことがあり、車椅子からずり落ちるかもしれません。ベッド上では姿勢を保てずベッド柵で頭をぶつけたり、ベッドから転落したりする危険性があります。

そのため、移乗する際にはしっかりと要介護者の身体を介助者に密着させることが不可欠です。さらに、足に力が入らない場合は、立たせるときだけではなく、座っているときにもバランスを崩しやすいため、目を離さないことが重要です。

移乗介助が終わっても、要介護者の観察を続けて事故を防ぎましょう。

さらに、移乗介助する際に、ズボンを掴んだり、勢いをつけて座らせたりすることは要介護者が不快感を覚えるため、これらの行動は避けてくださいね。

片まひの人を移乗する場合

脳卒中やウイルス脳炎などさまざまな原因によって片まひを発症する場合があります。

片まひのある要介護者は、両腕で介助者の身体を抱きしめて、支えにすることが難しくなります。

片まひの要介護者を移乗介助する場合は、以下のポイントに注意してください。

ここでは、身体の右側にまひがある人を例として考えてみましょう。

  • ベッドから車椅子に移乗する場合は、ベッドの左側に車椅子を置く
  • 車椅子からベッドへ移乗する場合は、ベッドに身体の左側を向けて車椅子を置く

このようにするとまひの症状がない左手で車椅子のアームサポートを持ったり、左足を軸足として身体を回転させたりして移乗介助できます。

身体を無理に動かそうとすると、要介護者や介助者の負担になります。 そのため、要介護者の身体の動きや状態に合わせて、要介護者と介助者、両者の負担を軽減したうえで移乗介助を行いましょう。

移乗介助の際に役立つ福祉用具

要介護者を移乗介助することは、要介護者や介助者いずれにとっても負担です。

要介護者が足に力が入らなかったり、まひがあったり、身体が大きかったりすると、その負担はさらに大きくなるかもしれません。

そこで、移乗介助の負担を軽減できる以下のような福祉用具の使用を検討してください。

  • フルリクライニングできる車椅子
  • 移乗用のスライディングボード
  • 移乗用のリフト

それぞれの具体的な使い方を知って、移乗介助の負担を軽減しましょう。

フルリクライニングできる車椅子

「フルリクライニングできる車椅子」を利用すると、移乗介助の負担を軽減できますよ。

ベッドに横付けできる車椅子であれば、さらに車椅子からベッドへの移乗がスムーズになります。

狭い部屋でベッドに対して斜めに車椅子を入れるために、何回も切り返す必要がなくなりアプローチ方法に悩まなくて済むでしょう。

「横付けフルリクライニングキャリー FC-220」であれば、スムーズに移乗介助ができるだけではなく、クッション性が豊かであり背中やおしりのズレを防止する機能もあるため座り心地が良いです。

さらに、1つのレバーでリクライニングを調整でき、力をかけなくても使いやすくなっているためおすすめです。詳しくは、下記のページを参考にしてください。

【車いす】横付けフルリクライニングキャリーFC220紹介

移乗用のスライディングボード

「移乗用のスライディングボード」とは、木製やプラスティックで作られたものであり、要介護者が座ったまま移乗できるように滑りやすくなっているボードのことです。

介助者は要介護者を立たせる必要がないため、介助者の腰の負担を軽減できたり、要介護者の移乗自体の負担を減らしたりできます。

さらに、移乗介助の際に要介護者は無理に身体を引っ張られることがなくなるため、その際の痛みも感じずに済むでしょう。

ただし、ひとりで、もしくは一部介助(片手で支えられる程度)により車椅子に座っていられる要介護者に使用が限られているため注意しなければなりません。

また、臀部に褥瘡(床ずれのこと)がある場合も、移乗用のスライディングボードを使うことで状態が悪化する恐れがあるため使用は避けたほうが良いです。

移乗用のスライディングボードは、介護保険のレンタル商品にもなっているので、一度試してみたい場合は担当のケアマネジャーや市区町村の担当者に相談してみてくださいね。

スライディングボード 介助 移乗

スライディングボードの使用例 紹介

移乗用のリフト

ベッドから車椅子やポータブルトイレに移乗する際、ハンモックのような形で吊り上げて移乗する「移乗用リフト」という福祉用具があります。

移乗用のリフトには、以下のような種類があります。

  • ベッド固定式リフト
  • 据置式線レール型リフト
  • 床走行式リフト

この商品も介助者の身体を痛めることを軽減できるだけではなく、要介護者が転落したりケガしたりすることを防げます。

人の腕で支えられるように、広い面積で支えられるため、安全に移乗できるでしょう。

ただし、移乗用のリフトには非常降下スイッチや緊急事情停止ボタンなどの機能がついているものの、使い方を間違えると要介護者が思わぬ事故に合うリスクがあります。

取り扱い説明書をよく読んで、使用上の注意を守って使いましょう。 スライディングボードと同じように、介護保険のレンタル商品となっているため、気になる方は一度お問い合わせください。

移乗介助 介助用リフト

移乗用リフト使用例 紹介

まとめ

移乗介助は、要介護者が日常生活を送るうえで不可欠です。

ただし、うまく介助できなければ要介護者が転落したり、転倒したりするなどケガをする恐れがあります。また、要介護者の身体の負担となり腰を痛めてしまうかもれません。

この記事で紹介したように、シーン別や要介護者の状態別の手順やポイントを踏まえて安全に移乗介助を実施してください。

さらに、福祉用具をうまく活用すると、要介護者や介助者ともに負担を軽減できる可能性があります。「ピジョンタヒラ株式会社」ではさまざまな福祉用具を取り扱っており、介助者に寄り添いながら支援しています。ホームページからお気軽にお問い合わせくださいね。




プロフィール
西川正太(看護師/保健師)
大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟などで看護師として14年間勤務。主に、急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療や介護、看護に関わる記事の執筆や監修を行っている。
 



Contents

【現役看護師によるコラム】

▶vol.01 要介護認定から始める在宅介護の基礎知識~要介護認定の基準や申請方法・在宅介護について~

▶vol.02 【認知症介護】在宅介護のポイント!限界と感じやすい3つの理由も解説

▶vol.03 移乗介助―移乗介助の方法・ポイント・注意点などについて


【介護コラム】

▶vol.01  初めての在宅介護 基礎知識~在宅介護を始める前に~

▶vol.02  介護と介助の違いとは?介助の種類や方法、失敗しないポイント

▶vol.03  介護用品の選び方|在宅介護に必要なものと選び方のポイント

▶ⅴol.04  入浴介助の手順と注意点、必要な介護用品、入浴介助の方法などについて

▶vol.05  車椅子の選び方・使い方、車椅子の介助方法などについて

▶vol.06  清拭(せいしき)の手順について|全身清拭・部分清拭の注意点とポイント

▶vol.07  在宅介護で看取りをするために必要なこと、準備や心のケアなどについて

▶vol.08  食事介助の手順と注意点とポイントについて

▶vol.09  排泄介助(トイレ介助)の手順と注意点とポイントについて