高齢者が眠れない原因とは?在宅介護でモーニングケアが大切な理由と基本手順
公開日:2024/12/26
「夜中に何回も起きるからいつも眠たい」「寝つきが悪くて睡眠時間が短いけど問題ないのだろうか」
このように眠りに悩んでいる高齢者はいませんか。年齢を重ねるにつれて身体の機能が変化していくことは自然な流れのひとつであり、多くの高齢者が経験することです。
しかし、眠れない日が続くと、体調を崩したり、日中の活動に支障が出たりします。さらに、気分が落ち込んだり、意欲がわかなくなったりすることもあり、重篤な病気を引き起こすかもしれません。
この記事では、高齢者が眠れない原因と在宅介護で大切なモーニングケアについて解説します。この記事をきっかけに高齢者がモーニングケアをうまく取り入れ、眠りの悩みを軽減できると幸いです。
高齢者が眠れない原因
高齢になると、健康な方でも眠りが浅くなったり、途中で目が覚めたり、早く目が覚めたりすることが増えます。おもな原因は次のとおりです。
- 体内時計の加齢変化
- 眠りが浅くなる
- ストレス
- 身体や心の病気
- 薬の副作用
身体や心の病気になると、不眠症や睡眠時無呼吸症候群など、さまざまな睡眠のトラブルがあらわれます。眠れない原因を知ることで安心して眠れるようになるでしょう。
体内時計の加齢変化
若い頃に比べて、高齢者で早寝早起きになることは、体内時計の変化が影響しています。血圧や体温、ホルモン分泌など睡眠にかかわる生体機能リズムが前倒しになるためです。そのため、一般的な高齢者の早朝覚醒は、病気ではありません。
ただし、睡眠時無呼吸症候群やうつ病などの病気が隠れている可能性もあるため、気になる症状がある方はかかりつけ医に相談してみてください。
また、高齢になると定年退職したり、パートナーと死別したりするケースもあるため、日中の活動量が少なくなりがちです。家にいる時間が長くなると、どうしても活動量が減ってしまうこともあるでしょう。日中の活動量が少ないと、夜になっても眠くなりにくく、不眠につながることがあります。
「やることがない」「ひとりで過ごしても楽しくないからとりあえずゴロゴロしておこう」という理由で寝床に長時間いてだらだらして過ごしやすくなります。その結果、昼夜逆転の生活になり、さらに不眠が悪化することがあります。 毎日同じ時間に起きて、朝日を浴びるようにするなど、規則正しい生活を送るように心がけ、日中は適度な運動や趣味活動などを取り入れることが大切です。
眠りが浅くなる
高齢になると、深い眠りであるノンレム睡眠の時間が短くなります。
若い頃はぐっすり眠れていたのに、年齢を重ねるにつれて、ちょっとした物音や刺激で目が覚めてしまうようになるのは、そのためです。何度も目が覚めていることが多いです。
眠りが浅いと、夜中に何度もトイレに行きたくなったり、尿意を少し感じただけでもすぐに目が覚めたりしてしまいます。
参考:厚生労働省/不眠症(e-ヘルスネット)
ストレス
高齢者が眠れない原因のひとつは、ストレスによる自律神経の乱れです。
というのも、心拍数や血圧を上げたり下げたりして「活動」や「休息」のバランスを保とうとしますが、ストレスによりこのバランスが崩れるためです。
たとえば、退職や大切な人との別れ、一人暮らしなどの環境の変化は、高齢者にとって大きなストレスになります。長年勤めた会社を退職することは、生活のリズムや人間関係の変化をもたらし、大きな喪失感につながります。毎日顔を合わせていた同僚がいなくなり、寂しさを感じることもあるでしょう。
また、長年連れ添ったパートナーとの死別は、孤独感や悲しみを深め、精神的な負担となります。一人暮らしでは、寂しさや不安を感じやすいです。
さらに、身体的な機能の低下から、思うように身体が動かないことや、病気による痛みなどからストレスを感じてしまうこともあります。
参考:厚生労働省/ 働く女性の心とからだの応援サイト
身体や心の病気
高齢者はさまざまな病気にかかりやすく、この身体や心の病気が眠れない原因となる可能性があります。たとえば、次のような病気は夜間の睡眠を妨げることもあります。
- 関節の痛み
- 頻尿
- 呼吸器系の疾患
関節の痛みで寝返りを打つのがつらかったり、夜中に何度もトイレに行きたくなったりするとぐっすり眠ることができません。
また、うつ病や認知症などの心の病気も、不眠の原因となることがあります。気持ちが沈んで何もする気が起きない、不安で落ち着かないといった心の状態は、睡眠に影響します。
病気が原因で眠れない場合は、まず病気の治療をすることが大切です。自己判断で放置せずに、かかりつけ医に相談して適切な治療を受けましょう。
薬の副作用
何らかの持病を抱えており、薬を飲んでいる高齢者も多いでしょう。服用している薬の副作用が原因で眠れなくなることもあります。たとえば、次のような薬を服用すると、不眠や眠気を引き起こしやすいとされています。
- 抗アレルギー薬 (眠気)
- 副腎皮質ステロイド (不眠)
- 気管支拡張薬 (不眠)
- 抗てんかん薬 (眠気)
- パーキンソン病治療薬 (眠気、不眠)
風邪薬に含まれる抗アレルギー薬(抗ヒスタミン剤)は、鼻水やくしゃみを抑える効果がありますが、眠気を誘発する作用もあります。
ただし、薬の副作用が疑われる場合でも自己判断で薬の服用を中止するのは危険です。必ず医師や薬剤師に相談し、薬の変更や服用方法の調整などを検討しましょう。
参考:NCNP病院 国立精神・新駅医療研究センター/処方薬の睡眠・覚醒への影響
高齢者は寝床にいる時間を8時間以上にしないことが目安
高齢者は、寝床にいる時間を8時間以上にしないことが目安です。
高齢者の必要な睡眠時間には個人差がありますが、眠気がないのに寝床に入ることはやめ、必要な睡眠時間を確保しましょう。
無理に長く寝ようとすると、かえって眠れなくなってしまうこともあります。
ある研究によると、睡眠時間が長すぎたり、短すぎたりすると認知症のリスクが上がることも明らかとなりました。詳しい結果は次のとおりです。
1日の活動量が低い場合は睡眠時間が8時間以上、もしくは5時間未満で認知症になるリスクが高くなりました。また、活動量が中程度から高い場合は、睡眠時間が10時間で認知症になるリスクが高くなりました。
つまり睡眠時間が短い、長い、いずれのケースでも、認知機能の低下や認知症のリスクが高くなります。
要介護者が日中ほとんど動かない生活を送っている在宅介護のケースでは、活動量は下がりやすいです。適切な睡眠時間でなければ、認知症を発症するリスクは高いといえるでしょう。
認知症になると介護の負担が大きくなる可能性があるため、睡眠時間の確保は要介護者本人だけでなく、介助者の負担軽減にもつながります。睡眠時間の確保が大切であり、その対策のひとつがモーニングケアです。
モーニングケアについて、次の章で詳しく紹介するため、在宅介護で睡眠不足に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
参考:科学研究費助成事業 研究成果報告書/久山町高齢住民における認知症の実態解明に関する横断・縦断研究
在宅介護におけるモーニングケアとは?
在宅介護におけるモーニングケアとは、要介護者が起きてから朝食を食べるまでに提供する一連のケアのことです。
単に身支度を整えるだけでなく、要介護者の心身の状態を把握し、1日を気持ち良くスタートしてもらうための大切な時間です。朝の時間は1日の始まりであり、その日の過ごし方を左右します。
「朝ですよ、起きてください」「おはようございます」と声をかけることから始まり、着替えや洗顔、口腔ケアなどをおこないます。介助者にとっても、要介護者の1日のリズムを作るだけでなく、自身の介護をおこなうリズムを作るうえでも重要な時間です。 朝の時間を有効に使うことで、その後の介護もスムーズに進めやすくなるでしょう。
在宅介護でモーニングケアが大切な5つの理由
モーニングケアは、要介護者が1日を快適に過ごすための重要なケアです。朝の時間を丁寧に整えることで、清潔感や生活リズムが保たれ、心身の健康が向上します。ここでは、モーニングケアが大切な理由を具体的に解説します。
- 寝ている間の不快感や汚れを落とせる快適性
- 生活リズムが整うことでの活動性の向上
- 身の回りのことをおこなう能力の向上
- 睡眠時間の確保
- コミュニケーションの機会の増加
モーニングケアは要介護者と介助者とのコミュニケーションの時間にもなり、信頼関係を深める効果も期待できます。日常生活の中で自然に取り入れることで、介助者の負担も軽減しながら、要介護者が安心して過ごせる環境を作りましょう。
寝ている間の不快感や汚れを落とせる快適性
寝ている間の不快感や汚れを落として快適に過ごせるようになるため、モーニングケアは大切です。
寝ている間は汗をかいたり、皮脂の分泌が活発になったりして、身体にはさまざまな汚れがつきやすいです。これらの汚れは、皮膚の炎症やかゆみなど皮膚トラブルの原因にもなるだけではなく、不快感が生じ、睡眠の質を低下させる恐れがあります。とくに、寝たきりの状態が続いている場合は、床ずれのリスクも高まります
モーニングケアでは歯磨きや洗面、着替えなどをおこなうため、これらの不快感や汚れを落とせて、清潔で気持ち良く1日を過ごせるでしょう。清潔な状態を保つことは、風邪やインフルエンザなどの感染症予防にもつながります。
生活リズムが整うことでの活動性の向上
朝、決まった時間に起き太陽光を浴びることで、体内時計がリセットされ自律神経のバランスが整うため、在宅介護でのモーニングケアは重要です。
人間の身体は、朝に光を浴びることで1日を活動的に過ごす準備を始めます。太陽光を浴びることで、身体のリズムがリセットされます。
これにより、身体と心が目覚め、活動的になります。規則正しい生活リズムを送ることは、睡眠の質の向上だけでなく、日中の活動意欲を高める効果もあります。
身の回りのことをおこなう能力の向上
モーニングケアによって活動性が上がることで、日常生活の中で動く機会が増えます。
たとえば、着替えや洗面などできることは自分でおこなってもらうように促すことで、身体機能の維持や向上につながるでしょう。
結果として、日中の活動量がアップして、日常生活において身の回りのことをおこなう能力の維持・向上につながります。自立を支援する観点からも、モーニングケアは重要です。
睡眠時間の確保
モーニングケアをおこなうことで日中は活動して、夜は眠るというメリハリのある生活リズムにつながります。
日中にしっかりと活動して、光を多く浴びることで夜間にメラトニンの分泌量が増え、眠れるようになるためです。夜間の睡眠が深くなり睡眠時間を確保できるため、日中も活動しやすいなど、良い循環が生まれます。
とくに、認知症の利用者さまの場合であれば、夜しっかり眠ることで、夜間の徘徊行動を抑えたり、勝手に冷蔵庫の食材を食べるといった暴飲暴食したりなどを防げるかもしれません。
夜間の不穏な行動が減ることで、介助者もゆっくり眠れるようになるため心身ともに負担が軽減されます。モーニングケアをすることが、認知症ケアにもつながるといえるでしょう。
参考:厚生労働省/健康づくりのための睡眠ガイド2023
コミュニケーションの機会の増加
朝の時間をゆったりと過ごせるため、介助者と要介護者の間で自然なコミュニケーションの機会が生まれやすく、モーニングケアは欠かせません。
朝のあいさつや要介護者の体調の確認、世間話などを通して心のつながりを深められます。コミュニケーションが活発になると、要介護者の精神的な安定につながり、認知症の予防にもつながる可能性があります。
気分転換できれば、ストレスを感じにくくなり精神的な病気になるリスクも下がりやすいです。
在宅介護のモーニングケアの基本手順
ここでは、在宅介護でベッドでの生活が中心の要介護者を想定したモーニングケアの手順を紹介します。
- 「おはようございます」「昨晩は眠れましたか?」とあいさつ
- 体位の調整と寝具の整え
- 排せつの確認と対応
- パジャマから普段着への着替え
- 顔の清拭と歯磨きティッシュでの口腔内の清拭(朝用お顔すっきりシート・歯みがきティシュ)
- 朝食の準備と食事介助
- 口腔ケア(薬用口腔ケアジェルプラス)
モーニングケアでは、この7つのステップに沿って進めることが大切です。
ただし、これはあくまでも一例であり、要介護者の状態や介助者の状況などに合わせておこなうことが不可欠です。
「朝用お顔すっきりシート」はデリケートなお顔にもやさしい天然コットン100%の製品であり、タオルなどを準備しなくてもシート1枚で汚れも気分もすっきりできます。
「歯みがきティシュ」は一枚で簡単に口腔内のケアができ、うがいができない方でも口をすっきり清潔にできます。
「薬用口腔ケアジェルプラス」は口腔ケアの際の保湿をしてくれ、乾燥やネバつき、口臭の予防のほかに歯周病の予防にも役立ちます。
これら介護用品をうまく活用できると、ベッド上の生活が基本である要介護者でもスムーズにモーニングケアを進められるでしょう。
在宅介護で快適なモーニングケアを実施するためのポイント
ここでは、在宅介護でモーニングケアを実施するための5つのポイントを紹介します。それぞれのポイントを踏まえることで、生活リズムが整い、快適に過ごせるようになるでしょう。
衛生的なベッド周囲の環境を作る
モーニングケアを始める前に、ベッド周囲の環境を整えることは、要介護者の健康と心の安定に大きく影響します。単に片付けるだけでなく、五感に働きかける環境づくりが重要です。
<整理整頓>
ベッド周りの不要なものを片付け、清潔な状態を保ちます。床に物が散乱していると、転倒のリスクを高めるだけでなく、心理的な圧迫感になるかもしれません。
整理整頓の際には、要介護者本人の意見も聞きながら進めることで、主体性を尊重できます。
<寝具の清潔さ>
シーツや枕カバーはこまめに交換し、常に清潔な状態を保ちましょう。必要に応じて防水シーツを使用して、衛生管理に配慮することが大事です。天気の良い日には布団を干し、日光消毒をおこなうことで、より清潔な状態を保てます。
素材にもこだわり、肌触りの良いものを選ぶことで、快適な睡眠をサポートできます。
<必要な物の配置>
要介護者が手の届く範囲に必要な物を配置します。たとえば、ティッシュや眼鏡、リモコン、飲み物などを手の届く場所に置いておくことで、不便さを軽減できます。
夜間使用するポータブルトイレも、すぐに使える場所に配置しておくと安心です。
ただし、近くに物を置きすぎるとかえって要介護者の自立を妨げる恐れがあるため、要介護者と話しながら進めることが大切です。
<換気と採光>
窓を開けて換気をおこない、新鮮な空気を取り込みます。同時に、自然光を取り入れることで、体内時計のリズムを整え、目覚めを促す効果も期待できます。
換気の際には、室温の変化に注意し、要介護者が寒くないように配慮しましょう。要介護者の好みに合わせてアロマディフューザーを活用すると、心地よい香りを加えることで、気分転換にもなります。
<温度と湿度>
室温は適切に保ち、乾燥しすぎないように加湿器などを使用しましょう。快適な温度と湿度は、要介護者の体調だけでなく睡眠の質にも影響します。
要介護者と介助者で情報を共有する
要介護者と介助者間の情報共有は、モーニングケアの質を高めるうえで欠かせません。日々の情報共有に加え、長期的な視点での情報共有も重要です。
「昨日はよく眠れましたか?」「今日の体調はどうですか?」などコミュニケーションを取り、要介護者の前日の体調や睡眠状態、気になる症状などを共有します。
これにより、些細な変化も見逃さないように、日頃から注意深く観察することが大切です。
また、モーニングケアの手順や方法について事前に確認し、介助者間で連携を取ることで、スムーズなケアが可能になります。手順書を活用することで、誰が介助しても同じ質のケアを提供できるように心がけるとよいでしょう。
要介護者のペースに合わせる
要介護者のペースに合わせたモーニングケアは、精神的な負担を軽減し、自立心を育むうえで重要です。単に時間をかけるだけでなく、心のゆとりを持って接することが大切です。介助者はゆったりとした気持ちでケアをおこないましょう。
ケアを急かされると、要介護者は焦りや不安を感じます。時間に余裕を持ったスケジュールを立て、ゆったりとした雰囲気の中でケアをおこなうことが重要です。
ただし、要介護者のことを思いすべてを介助すると、かえって自立できない状況になるかもしれません。そのため、要介護者ができることは本人に任せることで自立を促しましょう。
たとえば、着替えの際に着替える洋服は介助者が準備して、要介護者が自分で洋服を着てボタンを留めます。歯磨きの際には、要介護者が歯ブラシを準備したり仕上げみがきをおこなったりする一方で、始めのブラッシングは自力でおこないます。
必要に応じて、補助具を活用するして自力でできるように調整することも有効です。このように要介護者が自分でできる範囲で実施することで自己肯定感を高められます。
また、ケアをする際には、声をかけて笑顔で接することで、安心感を与えるでしょう。「外も晴れていて気持ちよさそうですね」「良い1日になりますね」といった声かけは、要介護者の気持ちを明るくし、コミュニケーションをスムーズにします。言葉だけでなく、アイコンタクトや優しい表情も大切です。
要介護者の気持ちに寄り添いしっかりと話を聞くことで、信頼関係を築き、精神的な安定につながります。話を遮らずに最後まで聞き、共感の言葉を伝えることで、安心感を与えます。
介助者の負担を減らすために工夫する
介助者の身体的、または精神的な負担の軽減は、長期的にケアを続けていくために不可欠です。
というのも、介助者の負担が続くと、心身ともに疲弊してしまい、在宅での介護を続けられなくなる恐れがあるためです。介護疲れやストレスが原因でうつ病を発症することもあり、介助者や要介護者ともにつらい状況を生み出す恐れがあります。
そのため、次のような対策をおこなうことで介助者の負担を軽減できるでしょう。
- ケアセットの準備:必要な物品(着替え、タオル、洗面用具など)を事前にまとめておくことで、準備する時間を短縮できます。セットの中身は、要介護者の状況や季節などに合わせて見直しましょう。
- 福祉用具の活用:電動ベッドやリフト、移動の補助具などを活用することで、身体的な負担を軽減できます。福祉用具は、適切なものを選ぶだけでなく、正しく使用することも重要です。専門家のアドバイスを受けながら、安全に活用しましょう。
- 休息時間の確保:介助者は定期的に休息を取り、心身のリフレッシュを図ることが重要です。ほかの家族に介護を依頼したり地域の介護サービスを活用したりして、ひとりで抱え込まないようにしましょう。短時間の休憩でも、意識的にリラックスする時間を持つことが大切です。
- 相談窓口の活用:地域包括支援センターや介護相談窓口などに相談し、アドバイスや支援を受けることで、不安や負担を軽減できます。同じ境遇の介助はと交流する場に参加することも、精神的な支えになります。
- 介護技術の習得:適切な介護技術を習得することで、要介護者への負担を軽減するだけでなく、介助者の身体的な負担も軽減できます。地域の介護教室や研修などに積極的に参加し、知識とスキルを向上させましょう。
几帳面で真面目な人や責任感が強い人、相手の気持ちに敏感な人は介護の負担やストレスを自身だけで抱えがちです。
そのため、ここで紹介した対策をうまく取り入れながら介護の負担やストレスを軽減して、介護に取り組みましょう。
イブニングケアに取り組む
イブニングケアとは、夕方から就寝前にかけておこなう介護支援のひとつであり、快適な睡眠を促すことを目的としています。日中の活動と就寝前の過ごし方を見直すことで質の高い睡眠を確保できると、快適なモーニングケアにつながります。
次のポイントに注意してイブニングケアをおこないましょう。
- 就寝環境の整備:寝室の温度や湿度、明るさなどを調整し、快適な睡眠環境を整えます。遮光カーテンや耳栓などを活用し、光や音を遮断することも有効です。寝具は清潔で、適切な硬さのものを選びましょう。
- リラックスできる声かけ:就寝前に落ち着いた声で話しかけたり、音楽をかけたりすることでリラックスを促します。アロマテラピーも効果的です。ただし、要介護者の好みや体調に合わせた方法を選びましょう。
- 就寝前のルーティン:寝る前に温かい飲み物を飲む、軽いストレッチをするなど、リラックスできるルーティンを作るのも効果的です。毎日同じルーティンを繰り返すことで、体内時計のリズムが整い自然な眠りを誘うことができます。
- 日中の活動:日中は適度な運動や日光浴をおこなうことで、体内時計のリズムを整え、睡眠の質を高められます。ただし、過度な運動は逆効果になる場合もあるため、要介護者の体力に合わせて調整しましょう。
- カフェイン・アルコールの制限:就寝前のカフェインやアルコールの摂取は、睡眠の質を低下させるため控えましょう。とくに、高齢者はこれらの影響を受けやすいため、注意が必要です。
イブニングケアでは、なるべく毎日同じ順番で、同じように介護をおこなうことがポイントです。たとえば「18時にお風呂に入って、19時に夕食を食べる」「歯を磨いてトイレに行ってからベッドに入る」などの一連の動きが決まっていると、その流れで眠りやすくなるでしょう。
まとめ:高齢者は不眠になりやすい!在宅介護でモーニングケアを取り入れて1日を快適に過ごそう
高齢者は生理的な変化により不眠になりやすい傾向があります。
良質な睡眠は、日中の活動意欲や心身の健康に大きく影響するため、モーニングケアを取り入れ、1日を快適に過ごせるようにサポートすることが大切です。これらのポイントを参考に、要介護者と介護者双方にとって心地よいモーニングケアを実践し、充実した1日を過ごせるように支援しましょう。
さらに、介護用品をうまく活用することで、モーニングケアの介助者の負担を軽減できます。「ピジョンタヒラ株式会社」では「朝用お顔すっきりシート」や「歯みがきティシュ」、「薬用口腔ケアジェルプラス」を始めとしたさまざま介護用品を取り添えています。
介助者や要介護者に寄り添ったものです。お問い合わせにも対応しているため、お気軽にご相談くださいませ。
大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟などで看護師として14年間勤務。主に、急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療や介護、看護に関わる記事の執筆や監修を行っている。
Contents
【現役看護師によるコラム】
▶vol.01 要介護認定から始める在宅介護の基礎知識~要介護認定の基準や申請方法・在宅介護について~
▶vol.02 【認知症介護】在宅介護のポイント!限界と感じやすい3つの理由も解説
▶vol.03 移乗介助―移乗介助の方法・ポイント・注意点などについて
▶vol.04 介護のおむつ交換の手順!9つの注意点や負担を軽減する方法を解説
▶vol.05 在宅介護でよくある5つの悩みとは?介護疲れの対処法と事例を紹介
▶vol.06 高齢者が眠れない原因とは?在宅介護でモーニングケアが大切な理由と基本手順
【介護コラム】
▶vol.01 初めての在宅介護 基礎知識~在宅介護を始める前に~
▶vol.02 介護と介助の違いとは?介助の種類や方法、失敗しないポイント
▶vol.03 介護用品の選び方|在宅介護に必要なものと選び方のポイント
▶ⅴol.04 入浴介助の手順と注意点、必要な介護用品、入浴介助の方法などについて
▶vol.05 車椅子の選び方・使い方、車椅子の介助方法などについて
▶vol.06 清拭(せいしき)の手順について|全身清拭・部分清拭の注意点とポイント
▶vol.07 在宅介護で看取りをするために必要なこと、準備や心のケアなどについて