介護用品への思い

ふつうに生活をして欲しい。

ほんとうは、介護用品を必要としない生活がいちばんです。朝は一人で起き、家族といっしょに食事をし、トイレも一人ですませ、外へ出かけ親しい人と楽しく語らいをする。けれど、こうしたことが自然にできなくなったとき、どうしても必要となるのが、介護用品です。

ところが、介護用品は使う方の精神面に与える影響が大きく、その利用には使う方の状態と習慣性を充分に考慮することが大切です。だからこそ当社がお届けする介護用品には、素材からデザイン・加工にいたるまで、使う方の立場に立った様々なアイデアを盛り込んであります。

お年寄りの体形から割り出したオリジナルのサイズ、装着時の圧迫感を感じさせないデザインなど、使う方の気持ちを第一に考えた製品開発を行っています。歳をとっても、身体が不自由になっても、ふつうに生活をして欲しい。たとえ介護用品を使うようになっても、今までと同じように過ごすことができるように。こうした願いを込めて私たちは製品開発を進めています。

辞書に介護という言葉がなかった時代。

1971年、前身である(株)多比良商会がおむつカバー『ヘルシーホルダー(現在のWカバーの前身)』を世に送り出したとき、辞書には「介護」という言葉はありませんでした。お年寄りや障がい者をどうケアすればいいのか、といった考え方が社会的に認知されていない時代でした。そうした時代に、当社はあえて介護用品の開発に乗り出したのです。それは、すべてを自力で切り開く困難な道でした。

ワンタッチベビィ

ワンタッチベビィ

股関節脱臼予防用のベビィ用おむつホルダー。 ピジョンタヒラ(株)はここから始まりました。

ピジョンタヒラ製品の歩み

1971年

1971年、最初の大人用オムツカバー「ヘルシーホルダー(現在のWカバーの前身)」が発売されました。
当時は大人用のおむつカバーがありませんでした。そこで施設の方々から作って欲しいという要望がありました。「寝たきりを防ぐにはおむつカバーをつけないほうが良い」。しかし、どうしても必要な時は少しでも苦痛を与えないおむつカバーを…。そこで寝たきりにさせないおむつカバー「ヘルシーホルダー」が誕生しました。その秘密は身体の丸みを考えた立体設計。モレを防ぐだけでなく、お腹を圧迫しないカタチ。また座った姿勢もとりやすくなっています。苦痛からくるおむつ外しがなくなるように「苦しくないおむつの当て方」も伝え続けてまいります。

1973年

1973年に発売された、お年寄りのための室内着「リラックスウエア」
少し背が丸くなる、つまづきやすくなる、むくむ、しめつけが苦しいなど、年齢を重ねると誰しも衣類の好みが変化します。また、おむつをしていることで、どうしても見た目が悪くなってしまいます。当社はおしりをおいかけながら、お年寄りの身体を見つめて製品開発を続けてまいりました。
衣類は軽くしなやかで身体への負担のない素材を。おむつをしていても、お年寄りの体型をカバーし自然に見えるシルエット。またベッドの上で動きを妨げないこと。1人ひとりの異なる不自由さをカバーし、障がいを感じさせないデザイン。そして何よりも「おしゃれを楽しんで頂きたい」という願いを込めて、あなたらしさを大切にデザインしてまいりました。

リラックスウエア

リラックスウエア

イメージ:フルリクライニングキャリー
1978年

多比良初の介護機器「フルリクライニングキャリー」は1978年に発売されました(当時は「背当てリクライニング式アルミ製折りたたみ車いす」)。
寝たきりの方や重度障がいのある方の離床を目的に開発されました。ベッドから離れ身体を起こすことで視野が広がり、いろいろな刺激を身体で感じることができるように。また寝た状態で移動できるので、公園へ出かけ風を身体で感じることができます。そして何より、部屋から出て周りの人々とコミュニケーションが図れます。
“生活空間を拡大させ、積極的な離床を促進させたい”従来の身障者の移動だけを目的とした車いすではない業界初居住性を重視した介護用車いすです。数回にわたるモデルチェンジを重ね、2010年に居住性と移乗性に安全性をプラスした「フルリクライニングキャリーFC-120」を、2021年に電動昇降と横付け機能、高さメモリ機能をプラスした「電動昇降フルリクライニングキャリーFC-320」を、2022年に「横付けフルリクライニングキャリーFC-220」を発売。フルリクシリーズとして現在でもベストセラー商品です。

1982年

寝たきりの方を起こしたい。そんな想いから、1982年離床自助具「移動用バー」は発売されました。
移動用バーはベッドに固定し足腰の弱った方がつかまって、立つ・腰掛けるの動作を安全にできるように考えられた製品です。ベッドから生活の場に移行する「橋」の役割を目指しました。独自のR形状はぐらつきが少なく、発売当時からほとんど変わりません。使い方は、頭の重心移動を利用して立ち上がりを行います。バーの幅は520mmと両手で支えられる幅。立ち上がり・つかまり立ちがしやすいサイズです。ベッドの変化に伴って、高さ固定式ベッド対応・昇降機能付ベッド対応と品揃えが増えました。

イメージ:移動用バーイメージ:移動用バー

移動用バー

1984年

1984年、筒状じゃばら式の「もしもしフォン」が発売されました。「耳が遠いお年寄りと目と目を合わせて会話ができるように」をコンセプトに誕生。子供の頃に遊んだ糸電話をヒントに開発しました。お年寄りとの会話は、ついつい耳のそばで口を寄せて大声で言葉を伝える一方通行になりがちです。大きな声で話すと、叱られているような気持ちになってしまいます。低めのやわらかい声で話しかけるのが、最もよく聞こえるそうです。
もしもしフォンはちょっと子供にもどった気分で目と目を合わせ会話が楽しめる、ユニークなコミュニケーションツールです。

1988年

紙おむつ「ラッピーシリーズ」の販売を開始。

イメージ:ラッピーシリーズ

ラッピーシリーズ

パームフル

安心ショーツ20

1995年

新ブランド「パームフル」を制定し、「安心ショーツ20」「安心パジャマ」など、6品種の販売を開始。

1998年

支点スライド方式を採用した自社製「介護ベッド」の販売を開始。

イメージ:座スゥイング30
ニュースゥイングNSW-1/NSW-1-D
1999年

1999年、「座スゥイング30」が発売されました。
その頃はまだ高齢者用のティルト車いすはありませんでした。開発者は施設に伺うたびに“お年寄りの「滑り座り」「斜め座り」をなくしたい、ゆったり寛いでもらいたい”という思いを抱きティルト式車いすの開発に着手。人間にとって最も快適でリラックスできる姿勢が、ちょうど安楽いすに座った状態だと言われています。この安楽いすの姿勢を車いすに再現することを目標に開発され、「座スゥイング30」が誕生しました。2002年には、座スゥイング30が第27回発明大賞功労賞を受賞しました。
はじめは2機種からのスタートでしたが、モデルチェンジを重ね、2017年に「ニュースゥイングプラス NSW-2/NSW-2-D」を発売しております。

2008年

2008年、「歯みがきティシュ」が発売されました。
口腔内を洗浄する目的として、細菌の繁殖を防ぐ・口臭を防ぐということが挙げられますが、それらの原因である口腔内の乾燥を防ぐという目的で洗浄する、ということは、知られていませんでした。口腔ケアは介助者の優先順位的にも低い状況だったため、介助者の負担にならないような口腔ケア商品を、ということで開発されました。口腔ケアをすると食事はもちろん、会話もはずむようになり、健康への一歩につながります。
2016年に「介護の口腔ケアシリーズ」として、2019年には新たに「クリンスマイルシリーズ」としてラインアップを行い、口腔ケア用品の充実に力を入れています。

見守りセンサ

見守りセンサ

2010年

認知症高齢者人口が増えていく中で、施設・病院で多く発生する転倒・転落事故への課題解決と、施設での慢性的な人手不足への早急な対応が求められていました。
ピジョンタヒラは「ベッドの足元で感知するセンサ機構」「離床予知&離床アラーム機能搭載」の、誤報が少なく、転倒・転落の危険予知のできる新離床センサー「見守りセンサ」を発売しました。
高齢者の動きに合わせてアルゴリズムを計算したり、PCに接続することによって対象者の行動特性がわかる等、今までのシートタイプの離床センサーとは違ったまったく新しいものを作りました。

2012年

2012年、「コンフォートアシスタ」が発売されました。
既存の車いすは「座位の安定」を訴求していますが、ご自身の体幹支持ができずに、車いすにもたれかかって座られているご利用者が多く見受けられました。そこで、「骨盤の後傾と体幹の横ブレを防ぐ」をコンセプトとした、長時間・座位姿勢を保持できる「コンフォートアシスタ」が誕生しました。
体幹と骨盤をサポートする機能をつけ、ご利用者が座っていても背中のノブボルトで簡単にフィッティングができるようになりました。ピジョンタヒラは、ご利用者の姿勢保持の改善にもご協力いたします。

コンフォートアシスタ

コンフォートアシスタ

香り革命

香り革命

ロゴ:香り・フレッシュ
消臭スプレー

消臭スプレー

2013年

2013年、介護専用消臭スプレー「香り革命」が発売されました。
介護の現場では、常に排泄臭のいやなニオイに悩まされています。しかし、一般用の消臭スプレーでは、汗のにおい等は消せますが、排泄物臭は消せません。また、使用済みおむつはゴミの日まで保管しなければならないので、瞬間的な消臭効果では意味がない。そこで、「排泄物臭に対し消臭効果を感じる、消臭効果が長時間続く」をコンセプトに、尿臭・便臭を良い香りに変える消臭スプレー「香り革命」が誕生しました。
1プッシュで十分な効果があると評判で、介護現場の環境改善に役立っています。
2021年には、尿臭・便臭を良い香りに変える「香リ・フレッシュ」という消臭剤のシリーズラインアップを揃え、「香り革命」「消臭スプレー」と名称変更し、販売をしております。

2014年

「尿便おしりに広がらないシート」の販売を開始。

尿便おしりに広がらないシート

尿便おしりに広がらないシート

アシスタイース

アシスタイース

2015年

2013年、車いす「アシスタイースⅠ・Ⅱ」の販売を開始。

2019年

2019年、様々なご利用者の座る姿勢をかんたん操作で改善し、残存能力を活かせる「プロフィットケアシリーズ」が発売されました。車いすを販売してきた会社ですが、本当は現場はどのような車いすを求めているのかを改めてヒヤリングを行いました。車いすは、多種多様な車いすが出てきて身体状況に合わせてどんどん車いすを乗り換えていく流行りとなっており、現場はフィッティングが大変、経営側は車いすの買い替えを求められても簡単には対応できない状況でした。その状況を打破するために①座位保持がしやすい、②身体状況が変化しても長く利用できる、③操作が簡便、というポイントを押さえた、座位保持自走型「ラクリオ」、座位保持ティルトリクライニング「ラクレスト」を発売いたしました。
また、車いすでの姿勢をヒヤリングをしていくと、食事時の姿勢についても問題を抱えていることがわかりました。高さ固定のテーブルを利用していたり、高さ昇降できるテーブルを利用していても、何故か食べづらそうにしていたり。確認していくと、食べるものが目線の先にあり、肩の可動域内に配膳され、手の届く環境を作ることで食べやすくなることがわかりました。同じ身長でも肩の可動域で手の届く範囲が違ってくるため、ご利用者個別でテーブルの高さを変えていくことが必要だとわかりました。そこで個別昇降テーブル「ここあ」を発売しました。無段階調整でテーブルの高さを変えることができるため、ご利用者一人一人に合わせた高さにすることができます。ご利用者の目線に食器があることで何を食べるかを確認でき食欲がわく、職員が食事介助していたご利用者も、見守りだけでご自身で食べられるようになった、と非常に喜ばれています。

2021年

2021年、「液体とろみかけるだけ」が発売されました。食カテゴリへの初進出商品となります。
在宅介護者への訪問調査を行った際に、飲み込む力が弱い方にとろみ調整剤をご利用されている方が多かったのですが、食事へのとろみのつけ方が非常に難しそうな印象を受けました。粉末タイプのとろみ調整剤は、一度別容器でとろみを作ってから料理に混ぜ込むという使い方ですが、在宅介護者によっては、粉末とろみ調整剤を鍋に直接振りかけており、とろみがダマになったり、かき混ぜることで料理がぐちゃぐちゃになってしまったりと、問題が見えてまいりました。液体に投入してもとろみが付くまで時間がかかりるため、待ちきれずにとろみ調整剤を再投入し、ダマになってしまったりと悪循環が見られました。
そこで、「ダマにならない」「とろみがすぐ付く」とろみ調整剤の開発に乗り出しました。そして発売した商品が「液体とろみかけるだけ」です。
「ダマになりにくい」ではなく「ダマにならない」、なじませるだけでとろみがすぐ付くので時間短縮になる、粉末タイプではとろみが付きにくかったオレンジジュースや牛乳にもとろみをつけることができると、非常に喜ばれる商品になりました。